自修館中等教育学校「自修館チームディベロップメント学習」
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 【発 表】

【リハーサル】

■ ついに迎えた最終日。朝食を終えた生徒たちは、次々に集い最後の編集を行います。パワーポイントの最終確認をし、発表原稿の作成が分担されていきます。ここまで来ると、一つ一つを言葉で伝え合わずとも各自が必要なことを考えて動きサポートしあうコミュニケーションが生まれてきていることがわかります。

■ パワーポイント修正の締め切り時間直前に、全チームでリハーサルを行います。どの部分を誰が話すのか、模造紙を持つ役割の分担や、パワーポイントと原稿のタイミングを確認します。「僕たちがASIMOのところを言うよ」「この時、私は何したらいい?」「指し棒って使えるのかな?」「模造紙は貼っちゃおうよ!」。チームでつくってきた制作物を、見ている人がわかるように「伝える」=「伝わる」ために、プレゼン会場に移動する最後の瞬間まで思索が積み上げられていきます。

【発 表】

■ いよいよ発表です。『山を生き返らせるリーダー』というテーマが、壇上に上がったチームの背後に設置された巨大スクリーンに映し出されます。スポットライトを浴びながら問わず語りに発表が始まります。「荒れた山とはどのようなものでしょうか。それは、草木の育たない山という意味ではありません」。「荒れた山」とはかつて資源を得るために手を加えた山を、後に放置したために草木が密生して採光が減り、結果として生物がいなくなった山だと生徒たちは説明します。この過程は、パワーポイントに示された矢印をたどって確認することができます。

■ 「そこで、手入れの間伐が必要とされます」。視覚的に根拠を持たせるために、二枚の写真が表示されます。枝葉をすかなかった木のほうは、立ち枯れてしまっていることがわかり、比較することができます。話は森の役割に進みました。いくつかの利点が列挙されます。ここで、チームの主題が提示されます。『森と人間の関わりはどのようにあるべきなのか』。

■ 再びパワーポイントを見ると、「手入れをする人を集めるにはどうしたらいいか」という文字が映しだされます。生徒が提案するのは、山の近隣ではなく、その他の地域から人々を集めるための工夫です。ボランティアやイベントの開催。広告媒体による認知度アップなど様々な方法が説かれます。人が集まるということは、リーダーが必要になるということでもあります。そこで一人の生徒がステージの前方に歩いてきます。突然大きな声で、「しかし」と警告が促されます。「リーダーという存在ができると、どうしても人頼みになってしまいます。そこで僕たちは考えました。リーダーとは一人の人物を指すのではなく、一人ひとりが持つ得意分野を複数人で分かち合い共有する『チーム』のことだと思います」と自分たちの主張を明確に提示するとともに、発表が終わりました。

■ 続いて質疑応答がはじまります。発表のときより照明が明るくなった会場の中で、手が挙がります。「森が災害のとき避難場所になるのは、どういうことですか」。間髪をいれずに発表者が答えます。「森は地盤が安定しているので、地震のときに安全です」。受け答えは一度の応酬で終わるわけではありません。「地震が起きたら、逆になだれの心配があるんじゃないですか」。質問は内容の確認からテーマに関わるものまで、幅広く出されます。

■ 「技術の先にあるもの」を発表するのは、劇をプレゼン手法として選んだチームです。ハイブリッドエンジンの説明が終わると、とたんに壇上の雰囲気がかわります。「俺車買っちゃったんだ」。生徒はかぶっていた帽子を勢いよく投げると、両手でハンドルをにぎるしぐさをします。「ええ、こんな排ガス出す車なんて嫌い」と女の子が冷たく答えます。ドライブを想定した場面に突如、悪役が現れます。そそくさと車を取り囲むこのなりゆきは、もう定石といっていいでしょう。となれば、やはり期待しないわけにはいきません。さらに登場人物が増えます。新たに現れた人物は、自らを「エコパンマン」と名乗り『モーター』と書かれた名札を下げています。彼の横にはもうひとり生徒が控えており、目を凝らすとそちらにも『電気』という名札が下げられています。「エコパンマン」は、通常の攻撃が相手に効かないとわかると、隣にいる『モーター』役の生徒を抱え「くらえ、秘密兵器」といって、二人の合体技として「秘密兵器」をふりまわします。悪役はしなしなと倒れ、平和は守られるのでした。『電気』と『モーター』によるハイブリッド車をモチーフにした劇は幕を閉じ、近未来におけるASIMOの進化に関する内容へと転換していきます。

■ 生徒たちの質疑応答は、回をかさねるごとに鋭さを帯びてきます。「未来のASIMOは脚を速くして人間に近づけるということでしたが、人間よりも速くなったら人間のようには見えないのではないですか」。チームの発見は、他の生徒たちの視点を経由することで、問いを深めていきます。自修館生たちは一丸となって、十二通りのプレゼンテーションを盛り上げていきます。

 
 【評 価】

■ 十二のチームがそれぞれに個性のある発表を終え、投票がおこなわれます。順位発表の前に、Hondaの小林さんから発表を振り返りながらメッセージを送ります。「プレゼンテーションでは、本田宗一郎氏の残した数々の言葉を紹介したチームがありました。そのなかに、『過去の泥の中から未来をつかめ』というものがありましたね。人間が生活していくには、エネルギーが必要です。二酸化炭素の排出量は、一定量を超えると有害になりますが、人間は、酸化させることでエネルギーを出しているのです。みなさんがいうように、環境問題を解決することは大切です。しかし大人たちは、この問題を解決する方法を知っているでしょうか。Hondaは、この問題を解決できるでしょうか。もしできるなら、とっくに解決しているはずです。現象だけにとらわれずに、課題をもって取り組んでください。過去の泥の中を探ってほしい。何が分かったという調べ学習よりも、なぜできないのかを考えていってほしい。それが皆さんの学校で行われている『探究』という取り組みにつながっていくと思います」。

■ そして、各チームのLAから賞状が渡されます。賞の名前は、『全員が全員を信頼していたで賞』や『とことんまで追及できたで賞』などチームがテーマを目指して特に心がけた姿勢が、キーワードになっています。LAもこの瞬間は感慨深いものがあって、三日間を総括したコメントを生徒たちへ向けて話します。

■ 「今回の学習では、茂木町にリサーチにいったチームもあります。街づくりについて、教わること、考えること、たくさんあったと思います。でも、学習はこれで終わったわけではありません。皆さんは、これから自修館のある伊勢原市について探究していきます」と東田先生によるメッセージで閉会式が終わりました。生徒の代表は、ここで学んだことをこれからの六年間に活かしたいと力強く述べていました。この2泊3日のオリエンテーションはスタートラインにすぎません。自修館チームディベロプメント学習で得たものは、6年間を通してこれからさらに発展していくのです。