東京学芸大学附属国際中等教育学校「国内ワークキャンプ」
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 【発 表】

■ 各チーム、最終調整段階に入りリハーサルをしています。パワーポイントなどの資料作成がまだ間に合っていないチームが多く、なかなかリハーサルに取り掛かれません。満足のいく資料を作ろうと締め切りのギリギリまで作業をしています。資料の準備が出来て、リハーサルをしてみると新たな問題が浮かんできたりします。時間がオーバーしてしまったり、話すスピードが早く聞き取りづらかったり、読む順番を間違えたり、スムーズに発表をすることができません。しかし、ここまで来ると問題を解決するのに十分なチームワークがチームには備わっています。すぐに修正してリハーサルを何度も何度も行っています。

発表 発表 発表
発表 発表 発表


■ いよいよプレゼンテーションです。各チーム準備を整えてプレゼン会場に移動します。
「環境にもっとやさしい車」というテーマで発表したチームは、車の外見や仕組み、シートの形をイラストで説明しながら、理想的な車を提案していました。最後に自分たちの考えた最終的な車の形として「たまご型の車」を発表するなど、独自性に富んだ発表がありました。

■ 「自然VS技術」というテーマで発表したチームは、この3日間を通じて、何も考えずに体で精一杯自然を感じてきた結果、自然のありがたさを実感したと発表しました。
「無意味な欲望が人間にあるが故に自然を破壊している」と主張し、自然と技術のどちらが大切なのか。自然がどんどん無くなっている現実に対し、技術をどのように活かしていったら良いかを話し合い検討したのです。技術がない世界、自然がない世界を想像して、「技術によって自然と共存しているもの」と「自然によって技術と共存しているもの」を発見したことから、自然と技術は共存できるという結論に至ったことを説明しました。結論に至る過程がよくわかるプレゼンテーションでした。

■ 「ASIMOは私たちの生活に必要か必要でないのか?」というテーマで発表したチームは、Hondaスタッフにインタビューして聞いたことを紹介しました。そして、その話からチームとして、
「今のASIMOの機能は自分たちで全てできることなので今のASIMOはいらない」
「自分たちでやってくれないことをやってくれたら必要」
「人間にはできない救出活動ができたり、老人介護ができたら必要になる」
と結論付けました。また、このチームはアンケートを実行して、ASIMOがいるかいらないかを色々な人に聴いていました。アンケートの結果を見ると「いる」と答えた人が全体の7割以上。「いらない」と答えた人が全体の2割という結果でした。他の人の意見を尊重して、それを反映したプレゼンテーションでした。

■ 「車の未来理想図」をテーマにしたチームは、「たくさんの人が利用できる自動車」を実現するための機能を考えました。
目の見えない人でも乗ることが出来るように自動的に運転する機能や、若い木から切った葉を使って燃料にする機能、菌が住んでいる木をエンジンに入れて活用できる機能など、自分たちで考えた機能を発表。そして、昔と今の車を比較して、未来にあったらいいなと思える理想の車を考案しました。それは、環境のために考えた機能、人のために考えた機能、その他に3分類されます。環境のために考えた機能は、エンジンの音を静かにする。バイオエタノールを使って排気ガスを少なくし、燃費をよくする機能です。人のために考えた機能は、自動音声道案内、ドアが軽い、交通事故を防ぐための認識センサー機能などです。その他の点としては、出来るだけ大人数で乗ることができればカーシェアリングにつながり最終的にエコにつながる、と言ったものでした。

■ 「技術のヒントは自然からきている」というテーマのチームは、技術のヒントが自然から来ているものを紹介していました。
・鳥から飛行機
・雑穀からバイオエタノール
・カタツムリから汚れないトイレ
・鮫肌を使った水着
自然から来ているものが世の中にはかなりある、ということを示した後に、自分たちで考案したものを紹介し始めました。
・ヤモリの手のひだにある突起からレスキュー手袋&ひざあて
・クマから肉体強化剤(クマは冬眠している間に代謝を低くすることで肉体の衰えを防いでいる)
・栄養の豊富な納豆菌を利用して超効果的肥料
どれも魅力的なアイデアで、聴いている人を惹きつける発表となっていました。

■ その他のチームでも、「失敗からの挑戦」というテーマで、挑戦することの大切さを学んだ、と発表しているチーム。「理想の未来」というテーマで、自然と動物(人間)が協力することが大切である、と発表しているチームなど、様々なチームが思い思いのプレゼンテーションを繰り広げていきました。


■ 発表が終わると質疑応答の時間になります。多くの生徒から発表の内容に関する質問が飛びました。
「無意味な欲望とはなんですか?」
と質問すると、
「便利を求めすぎて、自然をないがしろにしてしまうことです」
と直ぐに回答します。その他にも、
「エンジンの音が小さくなると『環境にやさしくなる』ってどういうことですか?」
「騒音がなくなるので人に迷惑がかからなくなります。」
「それだと『人にやさしい機能』ですよね?」
「うーん・・・間違えました」
といったやり取りもありました。自信を持って発表することは大事なことですが、素直に間違いを認めることも同じくらいに大事なことです。

■ 他にも鋭い質問が飛び、質疑応答も活発になっていきました。
「ASIMOと同じ認識センサーを車に利用すると、車が急に止まったりして逆に玉突き事故につながる可能性があるんじゃないでしょうか?」
「目の見えない人は電車に乗った方が良いと思う」
「ソーラーパネルは高価であり、気軽に買えるものではないと思う」
「そのASIMOはお年寄りの急病などに対応できるんですか?」
現代社会において実現の可能性があるのか、といった点に着目した質問が多いのに対し、それに対する回答は、
「未来に作ってもらいたいことを想定して考えたので、現在にそれを使っても上手く機能しないこともある」
「車だと電車で行けないところへ行くことができるようになる」
「理想の町なので現実的に可能であるかどうかは考えていない」
「ASIMOで出来るところは手助けをします。急病の対応として考えたわけではないです」
というように、今回の発表が希望的観測の基に作られたということが分かる回答となっていたことが非常に印象的でした。
具体的な実現可能性を考えることも、抽象的でも大きな理想を抱くことは両者とも価値があるものでしょう。そこからどんな『Something New』が生まれるかもわかりません。

■ 発表が終わると投票の時間です。自分たちが良いと思ったチームへ票を入れていきます。その後、最終日の自己評価をノートに書き、最後に200字で「自分が最も変化したと思う事」を記入します。プレゼンテーションが終わって少しホッとした様子で生徒たちも最後の作業を行っていました。

 
 【評 価】

■ プログラムもいよいよ終わりを迎えました。閉会式です。まず、Honda「発見・体験学習」を代表して青木さんから講評がありました。
「総まとめであるプレゼンテーションお疲れ様でした。テーマが『Something New 〜Find yourself, respect one another〜』でしたが、私自身多くの気づきをさせて頂きました。自分たちの観点で着眼点を見つけ、わからないことはちゃんとスタッフに聞いていました。発表の際も、聴く姿勢が良く、質問も非常に意味のあるものが多かったと思います。今回の発表を通して気づいたことを今後に活かしていってほしいと思います。ここツインリンクもてぎにとっても、皆さんの取り組みは意義のあるものでした。今後も挑戦していって欲しいです。3日間お疲れさまでした。」

■ 続いて、青木さんより投票結果の発表です。最優秀賞はどのチームなのでしょうか?
会場Aにて最も多くの票を獲得した1位はチーム2でした。
会場Bにて最も多くの票を獲得した1位はチーム12でした。
池田校長先生から最優秀賞の表彰状が渡されます。チーム2もチーム12も非常に嬉しそうな顔をしていました。

■ 最後に池田校長先生より講評がありました。
「3日間のワークキャンプが終わろうとしています。何か変わったことがありましたか?『Something New』はありましたか?振り返ってみるととても凝縮された3日間だったと思います。皆さんは各施設で一生懸命情報を集める技術を学んでいました。しかし、プレゼンテーションの向けた準備をしていくにつれ、情報を集める技術よりも集めた情報を捨てる技術を学んだのではないでしょうか?プレゼンテーションというのはなかなか自分の思いが伝わらない、と感じたでしょう。ではどのように伝えればいいのか。そのためには重要なキーワードを置いて、そのキーワードに続く大切なキーワードを置いていくことが大切です。そしてそれをきちんと図式化して、みんなの前に提示することができたら、少なくともそこだけは伝わります。たくさんの言葉を書こうとすると伝わりません。更にそれを良いものにするために、目で見えるビジュアル効果を取り入れるかどうかを検討し、いかに集約的な情報を発表にもっていけるかどうかを熟考することが大切です。発見というものはゼロから生まれるものではありません。何かと何かを比較して、そこから新しい組み合わせを考えられるかどうか、それが大きな発見につながるものです。ここで学んだことをこれからの6年間に活かせるように今後も頑張って下さい。」

■ 閉会式が終わり、3日間のワークキャンプが終わりました。どの生徒の「取材ノート」を見てもギッシリとメモが書かれています。バスに乗る前の昼食の際には、行動を共にしたLAと別れを惜しみつつ楽しそうに話をしている姿も見られました。様々な体験を通して、生徒たちは自分にとっての『Something New』を見つけたことでしょう。ここで感じたことを忘れずに、これからも『Something New』を見つけ続けて欲しいものです。