かえつ有明中学校「サイエンス」
HOME
 【発 表】

■ いよいよ最終日です。朝食を終えた生徒たちが会議室に入ってきます。中には、前日の夜に先生に報告し、朝の6時30分からパワーポイントや模造紙などの準備をしていたチームもあるようです。今日のプレゼンテーションにかける意気込みがどのチームからも伝わってきます。

■ 各チーム進捗状況に違いはありますが、まずは全チームが一斉にリハーサルを行います。「まだできていない!」と焦るチームもありますが、リハーサルはプレゼンテーションの練習というだけではなく、自分たち自身で内容を再確認し、その時点で足りない情報を補う時間でもあります。

■ 議論した内容をまとめている段階から、発表を意識して自分たち自身でリハーサルをすることで、誰が何を話すか、限られた時間をどう使っていくか、パワーポイントなどは誰が操作し、どう見せるかなどプレゼンテーションに向けて見えてくることは数多くあります。見ているLAも「パワーポイントの文字を読み上げるだけではなく、自分の言葉で話したらもっと伝わるのでは?」というようにアドバイスをしていきます。

■ リハーサルを通して足りないものが見えてきた各チームは、一斉に再編集作業に入ります。発表資料を充実させたり、最後の結論をもう一歩踏み込んで練りあげたりと、各チームの課題はそれぞれです。「そんなんじゃ、ぜったい伝わんないよ!」「もっと大きな声で!」など、より充実したプレゼンテーションにするために、そして3日間の成果を出し切るために、生徒同士の声にも熱がこもります。

   

■ リハーサルを終えると発表会場に移り、いよいよプレゼンテーションの時間です。発表会場はこれまで使用していた会議室とは異なり、パワーポイントが見やすいように薄暗く、厳かな雰囲気です。元気な生徒たちですが、さすがに緊張の色を隠せません。

■ プレゼンテーションの持ち時間は5分間、出発点となったテーマは「○○を乗り越える技術」です。それぞれのチームが特色を活かした発表をしていきます。「地域を乗り越える技術」という題でプレゼンをしたチームは、サーキットを作ってレースを開催し、地域の人々の参加を促して仲良くなることで、地域の問題を解決し、活性化することができる、という提案をしています。もてぎの3施設を訪れて導き出した問題意識と身近にある問題を結びつけ、それに対して、サーキットを作るという提案で解決策を提示するというユニークな視点です。

■ 「時代を越える技術」という視点から、「植物プランクトンの光合成によって生まれる酸素を動力源にした車」という新しい未来の形を提案したチームや、ASIMOや森のトイレといったツインリンクで体験した技術をさらに乗り越えていこうという提案など、様々な視点が表現されていきます。

■ ユニークな視点は内容面だけではありません。自分たちのチームの言いたいことを、わかりやすく伝えようと、表現の仕方にも工夫が見られます。単にパワーポイントや模造紙を使って発表するだけでなく、自分たちの提案する車の姿をダンボールなどを利用して創ってみせることで興味をひいたり、クイズ形式にすることで聴衆の参加を促したりと、受け手を惹きつけるような演出が数多く見られます。中には、ASIMOが感情を持つ場合の良い面と悪い面をショートコント形式で実際に演じてみせることで、ASIMOと人間の間に横たわる問題の難しさを表現するチームもありました。

■ 各チームの発表の後には、ほかのチームからの質疑応答の時間が設けられています。「HWにある猪よけの電線を木に変える」という提案に対して、「サイズが大きくなってしまい、日光を妨げる原因になるのではないか」と、その提案を実現したときに起こるであろう課題を追及するような質問が投げかけられます。他にも「ロボットが人間に似すぎるのは人間にとって良くない」という提案に対し、「具体的にどう悪いことが起こるのか」と問題を掘り下げるような質問など、様々な角度から質疑応答が行われます。質問と受け答えをするだけにとどまらず、議論に発展することさえあります。中には、「そもそもどうしてそのテーマにしたのですか?」という根源的な質問もありました。はじめのうちは、緊張からか2、3人しか手を挙げませんでしたが、徐々に質問をする面白さに気づいたのでしょう、最後のチームの発表では20人近く手が挙がっていました。これはまた、ほかのチームのプレゼンを一生懸命聞いていたことの証でもあります。

   
 
 【評 価】

■ プレゼンテーションが終わり、一人2票ずつ、良かったと思うチームに投票を行います。その後、三日間を振り返り、チームの中でどのような活動ができたか、自己評価を行い、ノートに書き込んでいきます。

■ 三日間の活動の締めくくりの閉会式です。まずは、さきほどの投票結果が3位から1位まで順に発表されます。チームが呼ばれるたびに大きな歓声があがります。時間の都合により、表彰式は学校に帰ってから行われることになりましたが、どのチームも嬉しそうです。惜しくも3位までに入らなかったチームも、拍手で讃えます。

■ 投票結果の発表に続き、校長先生から「HondaがASIMOを開発する際、ローマ法皇に『人間とは似て非なるものであるので制作させてほしい』とお許しを得に行った」という逸話を引用し、「人間と区別がつかないような機械や、遺伝子を組み替えたクローンなどが技術によって普及しつつある現代だからこそ、倫理観が問われる」というお話がありました。現代社会が直面している課題と、自分たち自身が3日間で見出した問題意識の間につながりが見えた生徒も多いはずです。

■ 続いて、LAから各チームにメッセージが送られます。「私もある人との出会いによって、この場にいます。皆さんも今回の出会いを大切にしてください」など、3日間をともにしたLAからのメッセージを生徒たちも真剣に受け止めています。メッセージを受けた生徒たちは、メンバー一人ひとりの思いを綴った色紙を贈るというサプライズで応えます。



■ 最後に生徒代表から「最初は名前も知らない、クラスも違う人と同じチームになるのは不安だったけど、今日のプレゼンではみんなと協力してうまくできました」と締め括りの言葉がありました。チームを組んで活動していく中で、普段とは異なる実感のあった3日間だったのではないでしょうか。


■ 「サイエンスHonda合宿」はこれで終わりです。自分たちで課題を発見し、チームで意見をぶつけ合い、プレゼンテーションを創りあげたこの経験は、きっとこれからの学校生活にも活きてくることでしょう。