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2007年展望(4) 環境問題−主体は何か−

2007年2月27日
by 古阪 馨

■ 廃木材を主原料とした世界初のバイオエタノール・プラントが1月16日、大阪にオープンした。バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシなど植物を原料として作られるアルコール燃料である。植物は石油など化石燃料と違い再生可能で、また植物自身が光合成でCO2を吸収しO2 (H2O)を生成するので、CO2削減の効果が期待されている。

■ このバイオエタノールをガソリンと混ぜて作るバイオガソリンがブラジルとアメリカではすでに普及しており、日本でも2010年度に本格導入される予定である。しかし、それにはガソリンの流通・バイオガソリンに対応した自動車の導入・エタノールの生産など課題が多い。

■ 大阪のバイオエタノール・プラントにそれでも注目したいのは、これが廃木材を原料として使用する施設だからである。廃木材使用が、かつて木の国であり、森林を豊富に持つ風土に相応しいと考えるからである。また、サトウキビやトウモロコシをバイオエタノール生産のために作付けするのは、食糧問題が存在している現状への対応策として矛盾する。

■ その食糧問題もまた大きな課題となっている。国内的には食糧自給率の低下、国際的には貧困の問題、世界経済の構造的矛盾だという有力な指摘もあるが、消費と資本主義、また国民国家と、近代が問われているといえるだろう。

■ 先日、地球温暖化に関するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告が発表された。環境問題が喫緊の問題であることは、我々の多くが感じていることであろう。しかし、環境問題とは何なのか、何が問題でありどう対処していけばいいのかと考えると、それは大変つかみにくい。

■ また、地球温暖化に対するCO2増加と人間活動の関係を結論づけたIPCC報告に対しても、それをどこまで科学的とみなすかという点からでさえ、批判の可能性はある。環境変化がなぜ批判的にみなされるべきものなのか、またどのような未来へと解決されていくべきなのか、倫理性にも検討の余地がある。それ故に、廃木材バイオエタノール・プラントに見られるように、環境の変化をどのように受け入れ活かしていくかと考えたい。

■ 環境問題を考えるとき、問題点とそれに対処する方法とともに欠かせないのは、その主体が何なのかという視点である。環境en- viron- mentという言葉は、自分のまわりを取り囲んでいる状態というのが原義であるし、環-境の「境」も、本来は「心」などと対応する言葉で、仏教では身体(五根)が感受している直接的な対象の広がりを示す。

■ 主体という点から考えると、環境ビジネスというのは企業による取り組みであり、環境政策というのは政府による取り組みである。都市生活では生活が断片化し、自然との関係も希薄であり、グローバル化といっても観念的な広がりの側面も強い。それ故に家族や個人が主体となった取り組みを、それぞれが意識し実行していく必要があるといえるだろう。主体が環境を変え、環境が主体を変える。先の心-境というのも、相関しつつ変化していくものだったのである。

■ 他にも今年は昨年の教育基本法の改正につづいて教育を中心とした大きな動きがあることが予想されるが、それは別項で改めて扱う予定である。以上で全5回の2007年の展望を終わりたい。


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