■ 六本木が熱い。
2003年の六本木ヒルズ開業以来、夜の街だった六本木はトレンドの中心へと変貌を遂げてきた。メディアへの露出も高く、国際都市TOKYOの情報発信源の1つとして注目を集めている。
■ その六本木にまた新たなスポットがオープンする。東京ミッドタウンとそれに先立つ国立新美術館の開館だ。
■ 3月30日オープン予定の東京ミッドタウンは、ホテルや住居、オフィスが入る予定の六本木ヒルズのような複合的開発施設だ。高級ホテルやポップなレストラン、ハイ・センスなブティックなど様々な人で賑わうことが予想されるが、「都心の上質な日常」を謳う東京ミッドタウンの目玉の1つが、赤坂より移転してくるサントリー美術館だ。
■ サントリー美術館は古美術に定評のある美術館だ。「生活の中の美」をコンセプトとし、特に硝子工藝のコレクションは知られている。日本をテーマにして行われる企画展示は質が高く大変興味深い。東京ミッドタウンでの新オープンを機に、「美を結ぶ。美をひらく。」を新たなメッセージとして、美により古今東西を結び、美により新たな人と関係をひらいていきたいという。
■ その東京ミッドタウンの程近くに先日オープンしたのが国立新美術館である。黒川紀章氏設計による本館は「量塊」ということばが相応しいほどの圧倒的な存在感を誇る。しかし中に入ると全面のガラスを通して、曲線的なやわらかさと無機的なシャープさによる空間に陽光が注ぎこみ、開放的な雰囲気が広がる。
■ 14,000平方メートルの国内最大級の展示空間 に10の展示場を持つ国立新美術館は、独自のコレクションは持たず、多彩な展覧会の開催などを通して様々な価値観による相互理解と共生によった「新しい文化の創造」に寄与したいという。開館初日には1万3千もの人が押し寄せ、すべりだしは好調のようだ。また各階にあるレストランも話題を集めている。
■ しかしこの国立新美術館、その抽象的な名前と同様に、美術館のコンセプトもまだ曖昧である。美術館の活動方針・内容には「さまざまな価値観に触れる機会」・「相互理解と共生」・「新しい文化の創造」・「新たな視点」・「参加し交流し創造する美術館」という言葉が並ぶが、今後開催予定の企画展では、世界の有名美術館にある名作と呼ばれるものの展示以上の内容をどのように出していけるかが注目される。
■ 開館記念展の1つとして文化庁メディア芸術祭10周年の特別企画が催されていたが、日本の現代アートのレベルは高い。また、海外の著名美術館のような、その国の美術史を一望のもとに見渡せるような美術館は日本にはないのが現状である。
■ 日本文化への関心は世界的にも高く、六本木は東京の国際地区である。日本美術の至宝の展示、稀有な大きさの展示空間を生かしたインスタレーション・・・。世界への発信拠点として夢は膨らむ。新美術館は可能性に充ちている。伝統と創造を六本木から。新たな才能がここで競い合い、はばたいていくことを期待したい。
■ 東京ミッドタウンには他にも、三宅一生デザイン文化財団の21/21 DESIGN SIGHT、東京ミッドタウン・デザインハブ、富士ゼロックス・フォト・ギャラリーなどが入る予定である。この他にも六本木地区には、現代アートを中心に独特の視点による展示で着実にその地歩を固めている森美術館、日本最古の伝統と古美術の佳品とを誇る大倉集古館、さらには日本最高のホールといわれるサントリーホールなど文化施設が揃っている。
■ アート・ビジネス・ファッション・ダイニング…。日本の深みとひらめきとによって、2007年のTOKYOはニュー・ウェーブを生み出せるだろうか。
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