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2007年展望(1) 「2007年問題」−「問題」を「チャンス」に−

2007年2月7日
by 古阪 馨

■ 2007年は団塊世代が定年を迎えはじめる年である。団塊世代とは昭和22年からの3年間に生まれた世代で、人口およそ680万人。この数値はここ3年の出生数の合計値の倍以上である。政府の労働力調査では労働者数は5歳区切りで算出される。従って実数は不明だが、各種調査では団塊世代の就業者数は450−540万人規模といわれ、6,600万人程度の労働力人口の8%を占めている。

■ そのうち正規雇用者数は300万人程度と推計されている。団塊世代は年功賃金制の強い日本社会では現在最も稼いでいる世代であり、現時点の団塊世代の総資産は130兆円、さらに45兆円の退職金が今後3年間支払われる見込みだという。それだけの人数と経済的影響力のある方々が新たな人生を迎え始められるということは、当然大きな転機となるであろう。

■ 樋口美雄慶大教授は「団塊世代の定年が日本経済に与えるインパクト」で、団塊世代の引退により潜在GDPが16兆円減少すると試算されている。いかに熟練した技能を後進世代に伝達していくかということは、製造業を中心として多くあげられている課題である。

■ 2007年が日本経済の分岐点であることでも識者の見方は一致しているようである。しかし、何の分岐点となるかに関しては見解に相違があり、「景気」・「経済成長」などのほか、より広く「グローバル経済における位置付け」・「『日本的基準』の確立」などの見方がある。

■ また、軽視されがちな問題としては、地方出身者の三大都市圏への集中があげられる。団塊世代の三大都市圏出身者は3人に1人に過ぎないが、その後の集団就職や進学などで、現在は団塊世代の2人に1人が三大都市圏に居住しているといわれている。これは各自治体の社会保障費の増加をもたらすと想定され、都会型の新たな地域問題として注目を集めている。引退後の新たな生活プラン、多様な生活ニーズに対応していくことも求められる。

■ 以上は社会的視点からの考察であったが、一方で団塊世代から見てみると、趣味や夫婦の時間を大切にしたいという声とともに、退職後も仕事を続けたいという意欲を持つ方が多いそうである。「老後」ではない多様な人生、新たな人生の捉え方が広がっていることとともに、現在、年金の支給年齢が65歳に引き上げられていることも関係しているだろう。

■ 上述のような社会的問題・個人的ニーズをかなえるため、団塊世代の定年後の再雇用が想定されている。これは企業にとっては、正規雇用からの人件費の削減というメリットにもなる。しかし再雇用は、いずれ団塊世代の方々が労働市場から引退されることを考えれば問題の解決とはならず、その間に、社会的観点から記せばいかに再生産されるサイクルを作り上げるか、個人的観点から見ればいかに生活と生きがいの合致を可能とするかということが眼目となるだろう。

■ 例えば、団塊の世代の方々が持つ経験的・知識的・経済的貯蓄を子ども世代に広く伝えていく場を設けることによって、団塊世代の方々が重ねられてきた人生を輝かせつつ、現代社会生活における諸課題を積極的に活用・解決していくことにつながりうるだろう。団塊世代の大量定年という「2007年問題」は、新たな日本を築いてゆく大きなチャンスとなる可能性を秘めている。


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