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大学院の時代が来た (2) ≪2004年10月27日付 Newsweekより要約≫

2005年7月21日
by 井口 唯史

■ キャリアアップをめざす人にはMBAが人気だが、MBA以外の修士号でも、収入の役に立つことがある。実利に直結した大学院課程は、世界中で人気を呼んでいる。

■ フランスでは、93年以降の10年間でMBAプログラムが約3倍に増え、61になった。パリの経営大学院に学ぶもよし、ボルドー・ビジネススクールでワイン・ビジネスを学ぶもよし。いずれにせよ、大学院で実務を学ぶことの見返りは大きい。

■ イギリスの大学院生の数は18万人を超える。9年前から比べると約8万人も増えた。大学卒業後、一度働いてから大学院に戻ると、終了時には社会人としての厚みが増すと、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのフィオナ・サンフォードは指摘する。

■ MBAキャリアアップへの関心がドイツほど高い国は珍しい。ドイツのMBAプログラムは、10年で12から182に急増した。「学生の関心はアカデミックな大学院を離れ、MBAなど実務的な学位が注目されている」とドイツ雇用者連盟のクリストフ・アンツは言う。

■ フォルクスワーゲンやドイツテレコムなどは「企業内大学」を設け、技術者や重役に大学院レベルの教育を提供している。「今の段階では、企業家精神の育成を一般の大学に期待するのは無理というものだ」と、企業向けソフトウェア大手SAPのマルクス・ベルナーは指摘する。

■ ヨーロッパでハイレベルな実務教育が脚光を浴びている背景には、経済のグローバル化がある。国ごとに教育やビジネスを隔てる壁が低くなったことで、高等教育の改革が促された。

■ 独自の教育制度を誇ってきたフランスも、学士を経て修士、博士に進む一般的なシステムを導入しはじめた。10年前に学士という概念を取り入れたばかりのデンマークでも、MBAなど実務的な学位への関心が高まっている。

■ 日本も大きな変化の波に洗われている。終身雇用制が崩壊しはじめ、キャリアの支えとなるスキルは自分で磨きをかけるものになった。政府も専門職大学院の創設を推奨している。

■ 一橋大学大学院の国際企業戦略研究科では、世界の実業界で通用する人材を育てるため、英語で授業を行う。法政大学は2004年、イノベーション・マネジメント研究科を新設した。2003年4月に開校した芝浦工業大学大学院の工学マネジメント研究科では、「技術のMBA」として知られるMOT(技術経営修士号)が取得できる。

■ 新しい大学院はまだ実績がないという批判もあるが、日本ならではのメリットもある。「講義が日本語だから、言葉の壁を気にせずに勉強できる。何より議論の中心に積極的に加われる」と、2002年に慶應ビジネス・スクールを卒業した学生は言う。

■ アメリカの大学は、世界を舞台にした大学院生の争奪戦に懸念を強めている。米大学院評議会が行った調査によれば、米大学院への外国人の出願数は昨年度、28%減少。入学を許可された留学生は18%減った。特に減少が著しかったのは、修士課程の拡充が進んでいる中国とインド、韓国の留学生だった。

■ アメリカの大学のなかには、外国への進出で事態に対処しようとしているところもある。ボストン大学はブリュッセルとロンドンにキャンパスを開設した。

■ ニューヨークにあるニュースクール大学院の修士課程で社会学を学んでいる日本人は「なんとしても修士号を取らなければ、と感じている。みんなが修士号を取っているのに、自分だけ取らないわけにはいかない」と語る。

■ 優秀な人材が欠かせない大企業も、焦って高学歴者を採用する必要はないかもしれない。近い将来、世界は修士号取得者であふれるはずだから。


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