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| 自治体の挑戦――品川区の小中一貫構想 |
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2005年3月31日 |
| ■ 文部科学省によると、各都道府県等における中高一貫教育校の設置は、2005年度以降に中高一貫校の設置予定数は45校(2004年10月時点)。少子化の影響で各私立学校の特色づくりが進む中、公立学校においても地方分権・規制緩和の流れを受け、子供たちを取り巻く社会環境の変化に応えるべく学校教育が多様化してきている。公立学校の中高一貫校の例としては、宮崎県で1994年に公立では全国で初めての中高一貫校として立五ヶ瀬中等教育学校が開校した。東京都では、都立初の中高一貫校として白鴎高校付属中学校(台東区)が今春より開校する。
■ こうした中で、義務教育の6・3制を見直す動きも広がっており、中高一貫校ではなく小中一貫校の開設を目指し、校種にとらわれずに子どもの発達に応じた教育課程の編成に取り組んでいる自治体の一つとして、品川区が注目されている。 ■ 品川区は2004年8月に「小中一貫特区」として認定されており、各地区に施設一体型の小中一貫校の開設を目指し、品川区の全区立小・中学校において、小中一貫校の教育内容を取り入れていく方針だ。具体的な動きとしては、まず大崎地区で品川区立第二日野小学校と日野中学校を統合し、2006年度に小中一貫校の開設を予定している。同区内の第二日野小学校と日野中学校は、一貫校を目指し2002年度から準備を開始しており、新校舎を建て、カリキュラムを確立した上で、2006年度から小中一貫校を本格的にスタートさせる。 ■ ではなぜ、品川区は小中一貫教育を実施するのであろうか。それを考えるためには、品川区の小中一貫校開設の動きは、どのような経緯で出てきたのかを押さえておく必要があると思われる。品川区の小中一貫教育は、2000年度からはじまた教育改革「プラン21」の一環として位置づけられている。 ■ 教育改革「プラン21」とは、品川区の各公立学校が、それぞれの児童・生徒や地域の実態、特性を生かして特色ある学校づくりを進め、学校の活性化と経営機能の改善を目指した改革のことである。その方策として、学校選択制や小中一貫教育の導入、小・中連携校における教科経営の改善などが検討されたのだが、教育論と経営論の両面からのアプローチを備えているのが「プラン21」の大きな特徴だ。 ■ 「プラン21」では、大まかにいえば1)生きる力を育む学校教育の推進 2)学習内容の厳選と基礎・基本の確実な定着 3)経営体という視点からの学校経営の見直し を目指す。小中9年間の系統的な学習によって、基礎学力の向上と豊かな社会性・人間性の育成を目指すということであろう。 ■ その背景として、品川区は学校教育の現状の課題として、小学校と中学校では学習指導や生活指導において、学校間の接続が必ずしも円滑に行われているとはいえず、また中学校進学に際して不安や戸惑いを感じている児童・生徒も少なくない点を挙げている。こうした状況にあって、品川区では教育改革「プラン21」がスタートした2000年度から「小中連携教育推進校」を設け、小学校と中学校の垣根を取り去り、9年間を見通し一貫したカリキュラムを編成・実施することとなった。 ■ つまり、小学校と中学校で連携して教育を行うことにより、小中の教員同士の意思疎通をはかり、また、子供たちには基礎学力の定着と、中学校に入学する際のメンタル面でのケア、異学年との活動の実践などを通して、豊かな社会性や人間性を育成するということのようだ。このような小中一貫教育を行うにあたり、品川区では子どもの発達段階に応じて「4・3・2」制を導入する。 ■ 「4・3・2」制とは、基礎の「前期」である小学1年〜4年、教科担任制を積極活用する「中期」の小学5年〜中学1年、選択教科の枠を増やす「後期」の中学2年〜3年に分けたカリキュラムである。また、「市民科」という新教科の開発や、小学校における英語教育の実施など、品川区の小中一貫教育は新しい小中学校の教育のあり方を模索するものであり興味深い。 ■ ただし、品川区が小中一貫教育を実施するにあたり、「4・3・2」制を導入したのも、小学1年生から英会話を導入したり、新教科として「市民科」を設立するのも、それは目新しい改革を行おうという意図ではない、という点に留意する必要があると思われる。この改革で、最も注目すべき点は「4・3・2」制を導入するという、それ自体にあるのではないだろう。品川区の小中一貫教育は、単なる小中学校の校舎合併という外見的な統合でもなければ、従来の義務教育9年間に異議を唱えた大改革という位置づけでもない。「4・3・2」制のカリキュラム作成も、小学校からの英語によるコミュニケーション能力、子供たちの社会性や自己を生かす能力を身につける「市民科」の創設も、いずれも子供たちの発達段階に応じて9年間の中で育てていきたいという、そのようなねらいのもとで導入されたことを押さえておく必要があるだろう。 ■ 品川区教育委員会の若月秀夫教育長は、区のホームページ(Welcome to「プラン21」―品川区の教育改革と学校経営の転換―)で、「良い意味での切磋琢磨を通して初めて、21世紀の新しい教育の扉を開くことができる」と述べている。品川区の小中一貫教育の取り組みは、学校教育の現状の課題改善を目指した、柔軟かつオリジナリティある方策の一つとして今後も注目される。 【参考ホームページ】 |
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