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教育ルネサンス No.30 文章で伝える数学 訓練 ≪2005年3月9日付 讀賣新聞より要約≫

2005年3月14日
by 藤村 晶子

■ 国立情報学研究所の新井紀子助教授(数理論理学)を迎えた「応用数学T」の特別授業で、京都教育大付属高校自然科学コース1年の生徒が「オセロを全く知らない人にルールを説明する」という課題に助教授の助言を受けながら取り組んだ。数学的な考え方を、わかりやすく伝える訓練をするのが授業の狙い。授業を受けた生徒は、当たり前だと思っていることを説明することの難しさや自分の語彙の貧しさに気付いたという。

■ 普段は新井さんが管理するネット上のサイト「e−教室」の「さんすうの作文」の課題に、小学校高学年から高校までの会員が投稿し、講師陣の助言や他の会員の投稿を読んで、自分の考えを発展させる。図や数式も使えるが、文章中心で投稿するよう、新井さんがし向けていき、自分の言いたいことを論理的にわかりやすく伝える訓練をする。

■ きっかけは、新井さんが以前に勤務していた広島市立大学の学生の答案だった。答えが書かれているものは、解法を覚えれば解ける問題ばかりで、証明や確率など、自分の考えを筋道を立てて記述しなければならない問題は手つかずだった。確実に得点する受験技術なのだろうが、「考える」という行為のスタート地点にすら立てなくなっている。

■ 他大学の教官から同じ悩みを聞き、問題の深刻さを痛感したことが「さんすうの作文」を生んだ。ネット上の「教室」に入ったばかりの子は、計算式をコンピュータープログラムに変換して説明もなく送ってきたり、ほとんど句読点を打たずに何百字も説明を書き連ねてきたりする。しかし、やりとりを繰り返すうちに、簡潔な文章で明快に示せるようになる。

■ 新井さんは、ネット上の他のサイトで、若者のやりとりをみるにつれ、自己表現の乏しさが気になって仕方ないという。その背景には、気の合う友人としかコミュニケーションしない生活環境があると見られる。新井さんは「助けが必要な時、どんな風に、なぜ困っているか説明できないと、仲間以外からの支援は得られない。論理的に伝える能力は、学力調査で他国に勝つ以前に一人ひとりが幸せに生きるために必要なのです」と強調している。


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