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OECD/PISAから見る≪未来を創る学校≫(1)

2005年2月14日
by 岡部 憲治

◆ 昨年11月にロサンゼルスの第1回JES教育セミナーで講演した際に、テキストとして当研究所の本間をはじめとする所員と執筆した≪未来を創る学校≫を使用した。参加者には好評で、特にその中の1人であるI氏からおもしろい視点で ≪未来を創る学校≫の読み方があることを提示された。

◆ それは今話題のOECD/PISAの報告書の分析を検討・活用してみてはどうかという指摘であった。たとえば、≪未来を創る学校≫で提起されている「12の学校選択指標」の1つ、「教師は創造的コミュニケーション能力を発揮しているか」は、PISAの報告書における「教師に起因する学級雰囲気指標」と重ねてみることができるのではないかというのである。

◆ 報告書(「生きるための知識と技能−2003年調査国際結果報告書 国立教育政策研究所編」)によれば「教師に起因する学級雰囲気指標」は、この指標の「値が大きいほど、教師が良好な学級雰囲気を持っている」と判断される。つまり、この「良好な学級雰囲気」は「創造的なコミュニケーション」と一致するのではないかということだ。

◆ 試しに、報告書の表6.1.1.1「教師に起因する学級雰囲気…」と表2.3.1「数学的リテラシー平均得点の国際比較」を素材に、次のようなグラフを作成してみた。すると、フィンランドや韓国、カナダは雰囲気も良好で数学的リテラシーも高い。つまりエクセレントスクール的な傾向がある。日本や香港、オランダ、ドイツ、アイルランドでは雰囲気はそれほど良好ではないが、数学的リテラシーは高い。エリートスクール的な傾向だ。イタリアは雰囲気は良好だが、リテラシーの得点が低い。これはクオリティースクール的な傾向になる。アメリカは意外にも雰囲気は良好ではないし、スコアも低い。トラディショナルスクール的な傾向と言える。

◆ アメリカがトラディショナル的であるというのは今ひとつピンとこない。地理的な面で言えば「西部と東部」、制度的な面で言えば「公立学校と私立学校」の間でかなり違いがあると考えられるが、平均化されるとそういう傾向になるのかもしれない。平均化されたアメリカのPISAの結果は参考程度に過ぎない可能性もあるが、21世紀の教育や学校がフィンランドや韓国、カナダタイプのモデルすなわち「エクセレントスクール的な傾向」を望んでいる可能性は多分にある(特に先進諸国では)。

◆ 2050年問題をクリアする≪未来を創る学校≫のベクトルをエクセレントスクールに合わせていることは、OECD/PISAの結果から見るとその正当性や信頼性、妥当性があると言えるかもしれない。


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