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スキー教室から見えてくるもの〜横浜中学校スキー教室

2005年1月12日
by 田中 厚行

横浜中学校のスキー教室が今年も始まった。
昨年(03.12)は雪不足のためやむなく中止となったが、今年は日程を1月にずらしたこともあり、雪に恵まれ絶好のスキー日和となった。
滞在先は志賀高原一の瀬にあるホテルサンモリッツ志賀。昨今、スキー人口が減少している中、横浜中学校は年々、生徒数も増え今年は260名もの生徒が参加した。横浜中学校のスキー教室は中学1年生から3年生の希望者が参加する。中には今回が2回目という生徒もいた。昨年のスキー教室が中止にならなければ、この生徒は毎年参加していたことだろう。

■ 7時に横浜を出たバスは途中、渋滞に巻き込まれること無く予定通りに志賀高原に到着した。レンタル用具の確認、開校式と進み早速レッスンが始まる。
まずは3日間怪我の無いよう、各班とも柔軟運動やセーフティーをみっちり行う。
スキー板を片足だけはめさせてレッスンを行っている班がいたのでインストラクターを務める若林プロスキースクールの方に聞いてみると、普段の生活の中で足首が固定されるということは中々ない。まずは用具に慣れてもらうため、片足だけスキー板を履かせ足首が固定されるということや長い板を着けた時の取り回し方法などに慣れてもらうためだと教えてくれた。また若林スキースクールでは最初の内はストックを使わずレッスンをする。これは安全面のためもあるが、実は慣れていない時にストックを使うと、上半身に余計な力が入りかえってバランスが悪くなるとの事。その為、初めのうちはストックを持たせない。

レッスンを終えた生徒は皆、満足顔でホテルに戻ってくる。しかしその中にも少し物足りなく感じている生徒もいる。この物足りなさは時間が短いという物足りなさだ。しかし、これが大切なのだろう。学校が作るしおりの中に「安全のための10則」が書いてあり、その中に「もう1回、そこがスキーのやめどころ」とある。物足りなさ=余裕を持たせることで、集中力を持続させ、怪我の防止を高めることはもちろん、「明日はどう滑ろうか」とか、「もっと上達したい」という考える力もつくのだろう。

 

■ なぜ横浜中学校のスキー教室は生徒に人気があるのだろう。参加している生徒に聞いてみると、「友達と一緒にスキーが出来るから」「自分が上達していくのが楽しい」などの答えが返ってきた。また、皆それぞれこの3日間で「両足を揃えて滑れるようになりたい」「コーナーを早く滑れるように」「早く滑れるように」と自分で目標を立てている。もちろん単純にスキーを楽しんでいるのだろうが、そこには無意識のうちに目標設定する事や、友達との関係、先輩後輩の関係という横と縦のつながりなどを感じているのだと思う。

■ ゲレンデに出てみると他にもスキー教室で来ている学校をみつけた。色々なゼッケンをつけた生徒たちがゲレンデに溢れている。なぜ学校はスキー教室を行っているのだろう。ただスキーが上達してほしい、という理由だけではないだろう。そこには普段の学校生活では体験できない「何か」があり、その「何か」に気づいてほしくて毎年先生方も一緒になってこのスキー教室が行われているのだろう。その「何か」が知りたくて引率しているS先生に聞いてみた。

■ 「仲間との集団生活の中で協調性やおもいやり、自分の意見が通らない、通すという自己表現力、我慢しなければいけないときもあるという現実を体験してほしい。これらのことは社会に出たときに必ず役に立つ能力だろう。それに気づく入り口に立たせてあげたい。スキーはそれに気づく一つのツールであり、僕らはその場所を提供していきたいと思う。夏のキャンプなどもそう。僕らは生徒にそれらに気づくきっかけを与える。その出発点を通った後は自分たちで考えてもらいたい。これは突き放しているのではなく、スキー教室という仲間との集団生活の中で自分で考える力や能力は身についていると思う、あとはそれをどう活かすかだけ。もし、解らなくなったり、失敗したらまた戻ってくればいい、ぼくらは毎年スキー教室をおこなっているのだから」

■ 仲間との係わり合いの大事さ、そこで色々考えたり、表現したりすること。体験し、経験したことを将来どのように生かせるかというキャリアデザインをスキー教室を通じて先生方は教えたいのだろう。そして、このような先生方の考えがある限り、横浜中学校のスキー教室に参加する生徒の数は増え続けていくだろう。


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