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時代の先駆者を育てる跡見学園の教育

2004年11月30日
by 葛原 裕香

■創立者・跡見花蹊の先見性
跡見学園の朝は「ごきげんよう」からはじまる。2004年11月15日に行われた学校説明会も、先生方の「ごきげんよう」の挨拶からはじまった。
跡見学園は、明治8年(1875)に跡見花蹊(あとみかけい)が創立した伝統ある女子校である。跡見花蹊は幕末の混沌とした時代、これからの女子教育の必要性を強く感じ、明治の世になってまもなく「跡見学校」を創立した。創立130年を誇る現在の跡見学園のルーツはここにある。
創立当初から、跡見花蹊は漢文、和歌、算術に加え、茶道、華道、筝曲、習字、裁縫、絵画など、広い学びを授業に取り入れた。なかでも、茶道を正課として採用した学校は跡見が初めてであったという。また、明治17年から早くもネイティブ・スピーカーの先生を招いての英語教育をはじめた。こうした先見性は、跡見学園の実学・道徳・情操を重視した今の跡見学園の教育方針にそのまま受け継がれている。
跡見学園校長・平井毅先生の「人間はいろいろな経験を通して自分に何ができるか、何に向いているかを認識していきます。そのために、教科の授業以外の行事や学びも大切にしているのです」というお話からも、跡見学園が全人教育の実現を目指していることが伝わってくる。

■「本物」に触れる教育
跡見学園が「本物」に触れ、豊かな心を育てる教育を実践していることは、行事の充実度からもうかがえる。たとえば、3週間のオーストラリアでの海外語学研修では、緑豊かな自然と広い大地が広がるおおらかな場所での体験から、モノの見方や考え方が変わったと答える生徒が多いという。また、普段の授業においても、たとえば理科では本物のミミズの解剖を通して学習を深めていく。実験や観察を重視しているのは、理科への興味関心を大いに引き出すねらいと、五感をフルに使って物事や現象をより深く理解してほしいからだという。
このように、多感な時期に「本物」に触れる機会を多く設けている跡見学園では、その貴重な体験の中から生徒たちは自らの力で感性を磨き、思考力を鍛え、豊かな情操を身につけた女性へと成長していくであろうと期待できる。それは、入試問題からもその傾向がうかがえる。
たとえば国語では、昨年度「泉が(  )わく」という穴埋め問題が出題されたが、正答率は0%であった。正解は「こんこんと」であるが、学校側としては日頃から本を読んでいればどこかで知ったはずと期待し、出題したという。あるいは、算数では図形の問題で、計算によって解答を導き出すこともできるが、図形の見方を少し変えて三角柱の集合体であることに気づけば、目で数えてすぐに答えを出すことができる問題が出題された。学校側としては、点数に全く差はないが、計算よりも「ひらめき」で解いた生徒の方により注目するという。豊かな語彙力や論理的な思考力に加え、発想力が試される問題も出題されているようである。それは、受験勉強とはいえテキストのみの学習ではなく、「本物」に直接触れる体験を大切にし、身近な出来事や現象の中から自分で考える力を日頃から養ってほしい、という学校のねらいがあるのかもしれない。

■連続したキャリアデザイン・プログラム
卒業生が「進路について早くから考えることができたから、じっくり準備もできた」と語るように、跡見学園の進路指導体制はしっかりしている。まず、中学3年次の2月から継続的に「R-CAP」という進路適性検査を行う。これは、「個性理解」「自分発見」「職業研究」「文・理選択」「学問研究」の5分野にわたるワークシートの作業を通して、多角的な視点から自己を発見するという興味深い教材を使用したものである。
そして、中学3年次の春休みに、自分が興味・関心を持っている職業について調べた後、その職業に就いている人に直接会ってインタビューを行う「職業調べ」がある。仕事内容、やり甲斐、その道に進むために必要な勉強や資格など、生徒たちはその職業の詳細を現場に携わる大人から直接話を聞くことによって視野を広げ、将来の進路選択の幅を広げていく。インタビュー後はレポートにまとめ、その成果を高校1年次の4月のオリエンテーション合宿で発表する。その合宿では、獣医師や弁護士など社会で活躍している卒業生の講演も行われ、生徒たちが自分の将来を具体的に考え始めるきっかけ作りとして効果をあげているという。
進路適性検査というと、一般的には高校2〜3年次が対象と考えられているが、跡見学園では、中学3年次の終わりから高校1年次にかけて継続的に「R-CAP」を実施しているのが特徴である。さらに、「R-CAP」と「職業調べ」が、高校1年次の春の「オリエンテーション合宿」につながっている点が興味深い。単発に適性検査を行ったり、高校生になってから進路指導に本腰を入れるという体制ではなく、「R-CAP」→「職業調べ」→「オリエンテーション合宿」という一連の流れの中で、将来について具体的に考えていくことができるシステムが確立されているのである。
このように、早い時期から継続的なキャリアデザイン・プログラムを行っているのは中高一貫校ならではの取り組みであり、一人ひとりの個性にあわせた、きめ細やかな指導を行う跡見学園の教育方針がここにも体現されていると思われる。

■時代の先駆者を育てる跡見学園
「跡見は、自分の人生の基礎を築く場所だった」と、ある卒業生は語る。現代に受け継がれる跡見学園の教育方針、教育理念の基盤を築いた創立者の跡見花蹊は、情操教育と実学の両方に力を注いだ。そして現在、「本物」に触れ豊かな心を育てる全人教育と、一人ひとりが将来のビジョンを具体的に持てるよう、中学3年次から「R-CAP」を導入したキャリア教育のバランスの取れた教育実践――時代の先駆者を輩出してきた跡見学園の伝統と実績のカギは、そこにあるのかもしれない。

参考資料: 跡見学園中学校・学校パンフレット
跡見学園情報誌「Blossom」vol.17

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