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フランスの高等教育状況

2004年9月2日
by 田中 厚行

先日、フランスのアルザスにあるアルザス日本学研究所(CEJA)の研究所員アントナン氏とフランスの高等教育について話し合った。
それによると、現在フランスの高等教育もイギリス同様、大きな問題を抱えている。
(イギリス高等教育問題についてはHonma Note 8月19日「イギリスの1つの教育事情」を参照

■フランスの高等教育の概要
CEJAアントナン氏の話だとフランスでは大学入学資格であるバカロレア取得者が現在、
同世代人口の約8割に達したとのこと。
これはフランス政府(社会党)の「20世紀までに同世代人口の8割がバカロレア取得」を目指す政策に沿って従前の普通教育バカロレアに加え、職業教育バカロレアが創設され職業高校卒業者にも大学進学の道が開けたため。バカロレア取得者の内、実際に高等教育へ進学する割合は同世代人口の約41%だそうだ(1999年、平成16年生涯学習政策局調査企画課調べ)

■フランスの高等教育システムは大きく以下の3つに分けられる。
(1)大学
(2)グラン・ゼコール(主に政財会の幹部、官僚を目指す人や工学系、ビジネス系の分野で実際的、実用的教育を行う。大学より上のランク)
(3)技術短期大学(中級技術養成{電子工学、機械工学、情報処理など}を行う大学付設機関)

バカロレア取得者はグランゼ・コール以外好きな大学へ入学できる。
大学では最初の1〜2年で基礎的な学習を行い、3〜4年で専門的な学習を行う。
バカロレアは大きく分け数学系と文化系に分かれ、自分が将来進む道により選択する。

グランゼ・コールに入学するためにはバカロレアの上位成績を取ったものが入学準備課程(1〜2年)を経て選抜試験に合格した者が入学許可される。

■フランス高等教育の問題点
高等教育人口増加に伴い、フランスでは以下が問題となっている。

●財政問題
フランスの高等教育の多くは公立となり、フランスでは憲法で公教育費無償の原則が規定されており、当然高等教育人口が増えれば国の財政を圧迫してくる(高等教育費の約8割は国負担)
また、高等教育人口が増えると教育費だけではなく、教員の人件費、設備費なども当然多くかかる。
一方、大学に入学したは良いが、1〜2年で退学する生徒が増え(これは生徒数に対して教員数が足りず、生徒一人一人に対してのケアが少なくなってきていることと、バカロレアを取得すれば原則としてどの大学へも入学出来るので入学するが授業についていけなくなり自主退学する生徒も増えてきている。アントナン氏は大学側も篩いをかけているとのこと)
失業給付金による財政の圧迫も始まっている。

●親の職業、社会階層の問題
親の職業や社会階層が低いと進学コースから外れる確立が多いという。
アントナン氏の話だと親の職業や社会階層が高い程、教育に対しても熱心で、色々な手をつかい
レベルの高い学校へ子供を送り込むそうだ。
逆に社会階層が低い親達はあまり教育に熱心ではなく学校を選んだりせず、近隣の学校へ。

■この他、アントナン氏の話
フランスでは高等教育を目指す時点である程度将来進みたい職業など考えなければバカロレアやその後の大学進学も大きく変わってくる。例えば日本語の翻訳家を目指すにはその学科を持っている大学を目指す、エンジニアを目指すにはその学科を持っている大学を目指すといった感じで。
そして希望する職業の資格を目指し、みな大学進学をしている。
ただ、高校の時点で将来について具体的に「こうしたい、こうなりたい」と思っている生徒は少ないと思う(ただ日本よりは多いらしいが)
そのため、アントナン氏は高校や大学にカウンセラーを置き、生徒の将来についてカウンセリングを行う必要があるといっていた。


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