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 富を生む大学 第2部 法人化大競争(1) <2004年3月29日付 日経産業新聞より要約>

2004年4月13日
by 藤村 晶子

■ 4月の独立法人化を控え、全国の国立大学が「富を生む」組織への変革を必死に進めている。研究水準の高度化と教育の質向上により、大学としての競争力を高めることが究極の目標だ。そのためには知的財産管理のあり方や学内人事制度を大胆に変え、産業界との連携・交流を深めることが不可欠である。

■ 東大医学部付属病院の「細胞プロセシングセンター」は、病気のため機能が衰弱した骨や血管、角膜などを修復、再生する「再生医療」の研究で世界の最先端を走る。第一製薬、メニコンなど6社が寄付講座のスポンサーとなって資金を拠出し、共同研究に取り組む。治療の有効性を確認した後には、事業化が当然視野に入ってくる。

■ 東大では同センターのほかにも事業化を前提にした有望なバイオプロジェクトが目白押しで、東大発ベンチャーの免疫細胞療法を提供するメディアネットとがん遺伝子解析や治療薬開発に取り組むオンコセラピー・サイエンスの2社が昨年相次いで新興市場に上場した。両社に続き、今秋にも上場が見込まれるのがエフェクター細胞研究所。免疫細胞を使ってがん細胞の働きを抑えることで副作用のない画期的な新薬開発につながると医薬品メーカーも期待を膨らませる。新薬開発には数十億円の費用がかかるため、株式上場で調達する資金をそっくり研究に投じる方針だ。

■ 4月1日に国立大学法人となる全国89校の大学・短大の先頭に立って改革を打ち出す東大は、大学発ベンチャーの育成を最重要目標の一つに掲げる。企業化につながる革新的な技術を生み出せば、産業界の評価も上がり、企業からの共同研究などの形で資金を導入することも容易になるからだ。学内に眠る知的財産の管理・運営を効率化し、迅速な事業化に結びつけるための新しい枠組みづくりも積極的に進めている。

■ 新体制では、学外組織である技術移転機関(TLO)の先端科学技術インキュベーションセンター(CASTI)が特許利用に関する市場調査や出願作業などを担当し、大学側は特許の帰属を判断するように分担した。独立法人化により、研究者が発明した特許は原則として大学に所有権が移り、特許申請の費用は大学が負担する例が増える。東大では、研究者の特許出願要求は最大で年間1,500件と従来の5倍程度に急増すると見ており、事業化を後押しするベンチャーキャピタル設立を発表するなど、「東大改造計画」は着々と進んでいる。

■ 激しい競争にもまれる米国の大学などに比べ、日本の大学は研究・教育の両面で地盤沈下を続けてきた。国立大法人化は競争原理導入を通じて私大も含めた日本の大学の活性化を進めるチャンス。人的資材に恵まれ、予算規模も大きい東大の研究水準が上がれば、日本の産業競争力強化にも貢献しそうだ。


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