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 富を生む大学 第2部 法人化大競争(4) <2004年3月26日付 日経産業新聞より要約>

2004年4月8日
by 藤村 晶子

■ かつて日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)で米ロサンゼルス所長を務め、スターバックスコーヒーなどの日本進出を支援した経歴を持つ谷川徹・産学連携センター教授が米スタンフォード大学客員研究員から三顧の礼を持って九州大学に迎えられた。

■ 九大が谷川教授に期待するのは、国際感覚と産業界での経験の豊かさ。国立大学法人化の競争で勝ち残るために、新たな事業で存在感を発揮することが必要である。谷川教授は、九大と中国の理系大学の名門が互いに窓口となり、日中の中小企業の技術や共同事業を橋渡しする「九州/上海国際産学官連携プロジェクト」に力を入れている。

■ 上海交通大学の丁文江副学長が九大に提携を打診してきた理由は二つあった。一つは、上海から福岡まで飛行機でわずか1時間30分と近いこと。もう一つは、九州は自動車や半導体関連の産業集積度が高く、中国の企業が渇望する技術がいくつもあることである。

■ 九大はこの突然の申し入れに当初戸惑ったが、谷川教授は「国内に残すべき先端技術は九大が目利きして守り、日本で使わなくなった技術を提供することで、日中双方の中小企業の利益になる」と説得、同年12月に上海交通大との提携が実現した。その数週間後、谷川教授は上海大学の要望を受け、福岡県で海水製氷機を製造するアイスマンの社長に中国で商品を販売することを打診した。中国には海水製氷機の技術がなく、漁船は魚の保管に苦心している。社長は「中国に売るとコピーされる」と渋っていたが、谷川教授に説得され、中国の企業と合併会社を作るなどの事業展開を検討中である。

■ 「大学の本分は教育と研究。ビジネスの仲介までやる必要があるのか」との声も残る。しかし、中国と始めた連携の効果は大学にも及んでいる。日本の大手メーカー数社から「九大・上海交通大連合と一緒に共同研究したい」との声が寄せられたほか、韓国の大学からビジネススクールの共同開催の提案も舞い込んだ。九大ブランドはアジアにじわりと浸透し始めた。

■ 技術移転を契機に、地元企業の中国進出の支援、中国企業との共同事業も縁結びする。ビジネスと見た場合に多くの仲介料収入は期待できないが、自前の技術を中国に移転してロイヤルティー収入を得る地ならしになる。九大は半導体やバイオテクノロジーに強みを持つ「技術の宝庫」。日本では使われない技術を海外で有効活用することも可能だ。研究のみに没頭するのではなく、企業や技術を積極的に結びつけ、ビジネスを創造するという新しいスタイル。アジアの玄関口という地の利を棹とし、九大は法人化の荒波に挑む。


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