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美術館 受難の時代[3] 変わりゆく都市文化の担い手

2002年6月12日
by 前田恭子

■ セゾン美術館、東武美術館、三越美術館、小田急美術館、そして伊勢丹美術館が99年から今年にかけて相次いで閉館した。抜群の集客を誇り都市文化の象徴でもあった東京の百貨店美術館は今や総崩れに近く、その主役の座は別の場所に移りつつある。

■ フランスの高級ブランド、エルメスが東京・銀座に昨年開店した「メゾンエルメス」は、建築家レンゾ・ピアノによるガラスブロックのビルで、現代美術館のようなたたずまい。吹き抜けになった8、9階の「フォーラム」では現在、中村哲也、須田悦広という気鋭の現代アート作家の作品を展示している。

■ 主体性を打ち出すため単なる貸しギャラリーにはせず、積極的に芸術家に接近して「エルメスと関わりのある作品を創造してもらう」という。パリやニューヨークでも、アニエスb、プラダといったファッション・ブランドが美術に力を入れており、高級ブランド店が文化戦略で百貨店を追い越す勢いだ。

■ 一方で、東京・吉祥寺の繁華街のビル7Fには今年7月、武蔵野市立吉祥寺美術館が開館した。1〜6Fの大部分は伊勢丹吉祥寺店で、売り場と美術館はエスカレーターで直結している。

■ 当初、郊外に豪華な市立美術館の建設を計画していた武蔵野市は、コストなどを考慮して中心市街地の空間を有効利用した。閉館を午後7時半とするなど、買い物や仕事帰りに来館できる百貨店美術館の感覚だ。

■ 百貨店が美術館から撤退した後も、百貨店美術館の思想は生きている。

5月29日付 日本経済新聞 「美術館 受難と再生」より

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