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美術館 受難の時代[1] 第三次美術品流出時代

2002年6月10日
by 前田恭子

■ 文化装置としての役割を担ってきた美術館や博物館にも、不況の荒波が容赦なく襲いかかっている。

■ 出光佐三氏の膨大なコレクションを抱える出光興産が、創業時から保有してきた美術品を海外のオークションなどで売却した。購入時に320億円の価値があったコレクションの売価は145億円。

■ 今回売却したのは出光興産の保有資産で出光美術館の所蔵品ではないが、実は財団法人である美術館の所蔵品も、文化庁の承認を得たうえで売却していたことが分かった。経費削減のために様々な増収策を図ってきた結果の所蔵品整理だった。

■ 古美術の名品を持つ大阪・心斎橋の萬野美術館も、オークションを通じて鎌倉時代の陶磁器など所蔵品の一部を売却し、百十余点が7億数千万円で落札された。

■ 西日本銀行と経営統合する福岡シティ銀行の四島司頭取は現代美術の世界的コレクターとして知られ、かつては「四島美術館をつくりたい」と公言していた。しかし99年に10作品を約50億円で米サンフランシスコ近代美術館に売却し、以降も継続的に手放しているという。

■ 「出光」「四島」両コレクションの売却は美術界に衝撃を与えた。日本国内の美術品は幕末明治期、第二次大戦後の2度に渡って海外に大量流出した過去があり、バブル期に買い戻したこれらの美術品がここ数年でまた流出。市場では他にも所蔵品を手放した日本の美術館の名前がささやかれている。

■ 「美術品、第三の流出時代」はさらに本格化しそうだ。

5月27日付 日本経済新聞 「美術館 受難と再生」より

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