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アットマーク・インターハイスクール
―学習の集大成「オルカ・フェスタ」―

2002年3月7日
by 前田恭子

■ 3月2日、アットマーク・インターハイスクールの「オルカ・フェスタ」が開催された。同校はホームスクール(在宅学習)が基本で、個々の学生とサポートティーチャーの間でもインターネットでの通信を利用している。そのため普段は学生間にもコミュニケーションがあまりないのだが、スクーリングやフィールドワークを通じて全国各地に散らばる同級生と出会うことができる。

■ この日開催された「オルカ・フェスタ」は同校の交友会が主催するイベントで、年に1回の学習発表となる学生プレゼンテーションや展示のほか、バザーや卒業式も同時開催される。同校においては総合学園祭のような位置付けであり今年で2回目。サポートティーチャーから「今年もぜひ楽しんでいってください」と爽やかな挨拶があり、「オルカ・フェスタ」が始まった。


§1 自分で学び取ることを大事にしてきた証

■ 柳沢学長からフィールドワークなどの様子が紹介される。プロジェクター設備により大きなスクリーンには交流の様子が映し出された。6月に提携校の卒業式にも参加した「ワシントン州修学旅行」、お台場でのバーベキュー、10月の入学交流会、12月のクリスマスパーティー、馬に乗る体験などの自然体験交流会の他、サマースクーリングでは研究内容を決めかねている学生に学習ネタを提供するために、カリグラフィの指導やJAVA講習が行われた。こうやって様々なヒントや助言が出されるが、学習内容を決定するのは学生自身の作業なのだ。

■ 他にもニュース番組出演の模様や各誌への記事掲載一覧、出版物、進学実績などを紹介、この秋に設置されたばかりの理事会も紹介されるなど、同校の新しさや各メディアの関心の高さをうかがわせる事柄も多い。

■ 続いて卒業証書授与。規定の19単位を取得してこの春卒業する4人が卒業証書を受け取るが、残念ながら1人は事情により参加ができず担当サポートティーチャーが代理で受け取る。卒業生代表の挨拶では、専門学校への進路が決まっている学生が、普通高校では経験できない学び方ができたこと、新聞社の方からインタビューを受けたこと、米国に興味を持つことができたことなどをあげ、これから社会へ出ても常に自分で学び取る姿勢を大切にしていきたいと語った。


§2 学生プレゼンテーション

■ 学生たちによって日頃の学習の成果が発表された。展示作品や学習ノートを出品して参加とする学生もいるが、プレゼンテーションを披露する学生の方が多かった。プレゼン参加は強制ではないが、できるだけ参加して発表することを勧めているそうだ。

■ 備長炭電池の作り方と題したプレゼンテーションでは、学生が簡単に仕組みを紹介しながら実演してみせるが、途中からマイクを持つ手が混みあってしまい、サポートティーチャーが登場して手助け。ところが電極に接続する段でコードの先についたクリップを噛ませることができず豆電球が点灯しない。「さっきは上手くいったんですけどね」と困りながら数回試したが、「上手くいったら後ろで展示します」と締めくくった。プレゼン終了後も挑戦していたようだが、残念ながら上手くいかなかったようだ。


■ 米国史としての「魔女狩り」のプレゼン。興味を持って調べていくにしたがって、いわれのない迫害を受けたり陰謀や対立に巻き込まれた人々の事を知り、現代の世界的なニュースの中にも魔女狩りに通じるような責任転嫁や一方的な攻撃があることに気付いたということだ。大型バイクが好きだという彼女はプレゼン終了後、以前カナダに留学していた過去を振り返って「充分な単位が取れず悩んでいた時期にアットマークを知ることができて良かった」と回想し、サポートティーチャーや学校への感謝の意を表した。現在彼女は英検2級を取得し、自己推薦入試により短大への進学が決定している。

■ CDにもなっている自作の曲をアコースティックギターで演奏する学生。「人目ばかり気にしたあの頃〜」という歌詞がリピートされ最後のフェイクも心に響く。プレゼンだけでなく学生展示の内容も担当のサポートティーチャーによって、学生がその課題を選んだ経緯や思い入れの深さも交えて紹介された。自分で説明をする学生もいたが諸処の事情で欠席者が多かったようだ。米国各州の広さや現在の州知事などをネットで調べてスクラップした米国研究ノート。日本史、アメリカ史、ワシントン州史を各々まとめたノート。英語版のゲームソフトからセリフなどを和訳した英語学習ノート。ハリーポッターの英原本からの和訳ノート。モノトーンの抽象イラストや自作のパズル作品、ポストカードなど。

■ アットマーク・インターハイスクールは中高生による教材Webページ作成コンテスト「Think Quest」に出品参加しており、ホームスクール学習法として自分の関心のある事柄を体系的に掘り下げホームページを創り進めていくことを推奨している。学生が研究を掘り下げれば掘り下げるほどツリーのようにコンテンツが育っていき、細部に渡る専門性が立証される結果ともなっている。このような自作のホームページでのプレゼンも続々と行われた。

■ トランスミュージックのホームページは代理のサポートティーチャーによって紹介され、作成した学生のDJ仲間との交流紹介やトランスミュージックの映像と音楽が会場に流れた。地震について研究した学生はVTRによるプレゼンで震度やマグニチュードの解説、地図を参照しながら地震のメカニズムや活断層などを紹介した。パスタのホームページや、ドッグトレーナー志望の学生による家庭犬や盲導犬など訓練犬種の紹介。アットマーク入学以前から書き溜めていたという膨大な量の日本史解説のホームページもあり文章量と内容の深さに圧倒された。サポートティーチャーからは専門性を持ったことにより自信を付けた学生の現状が報告された。

■ この日のプレゼンで唯一共同作業されたホームページは「Think Quest」への出品を充分に視野に入れたもので、原爆投下に対する日本とアメリカの考え方がまとめられていた。3人の学生が手分けして新聞などから収集した情報がたくさんのページに連なっており、当時、原爆に対する誤った認識が蔓延していたことや、投下以前の各国の動き、年表などが綴られ、このホームページを作成する上での活動記録もひとつのページにまとめてあるなど充実した分量のホームページだった。プレゼンテーションもそれぞれ手分けしながらの発表となった。

■ 沖縄から参加した学生もいて、父親の日記を中心にホームページを作成したものを紹介した。入院した父親が入院日記として書いた文章をホームページ用に編集したもので、家族で協力して創りあげた様子がうかがわれた。父親が掘りゴタツで足に重度の火傷を負って入院したときの様子や、火傷の快方の具合が写真などを織り交ぜて紹介される。画面一杯に映し出された患部の写真や動画で再生したレントゲン映像には会場全体がビックリさせられたが、本人は落ち着いて「糖尿病でもある父には心臓に重大な疾患が見つかり、今月中にバイパス手術を受けることが決定しています」と発表。足の火傷が完治した後も父と息子の入院日記は続きそうだ。


§3 オルカの意味

■ 学生の多彩なプレゼンテーションが終了すると、2名のサポートティーチャーからもプレゼンテーションが行われた。剣術の居合とマンガ・アニメから学習する方法とが紹介され、続いて学生プレゼンテーションの表彰が行われた。

■ 「父の入院日記」と膨大な文章で綴られた「日本史」のほか、3人で共同制作した原爆に関するホームページ、展示作品の展示作品の自作マンガがその世界設定を評価されて、それぞれ受賞した。講評では、「入院日記」は動画を再生するなどの世界的にも高いプレゼン技術への評価と、壊疽となっている患部の写真を画面いっぱいに拡大し、思わず会場から笑いが漏れたことなどが決め手となったとのこと。高校生レベルのホームページプレゼンで笑いを得るのは大変難しいのだそうだ。「日本史」については膨大な量で内容のクオリティーも高く評価された。サポートティーチャーの代理プレゼンではあったがプレゼンにあたっての本人の挨拶文が読まれ、彼女の文章力の高さが証明されたこともあげられた。

日野理事長は、形から入って創設したばかりの学校だが、学生から新しいことをたくさん教わってどんどん発展しており、このオルカ・フェスタでも多大な収穫があったと伝えた。大勢の参加に感謝の意が表され、3時間半に及ぶオルカ・フェスタは閉会となった。

■ このオルカ・フェスタの「オルカ」とはシャチの英語名で、提携している米国ワシントン州のアルジャー・インディペンダンス・ハイスクールのシンボルも、オルカである。そのオルカは年に数回多くの個体群が一堂に会する習慣があるといわれていおり、提携校周辺でもこの現象が見られる。「スーパーポッド」と呼ばれるこの習性になぞらえて、年一回の集いを在校生、卒業生はじめ、父母も参加できる楽しいイベントにしようという思いからこの名を付けたということであった。

■ 閉会後も学生同士やサポートティーチャー、保護者とも集まっておしゃべりをする姿が多く見られ、年に何度か催される体験交流と合わせて普段出会う機会の少ない学生同士にはまたとない交流の機会になったようだ。実際に交流イベントを開催するごとに学生同士のメールのやり取りや学生掲示板への書き込みも増えているという。今後ますます学生の参加や共同学習が盛んになることも期待したいが、同校においてこういったイベントや交流会への参加は強制ではなく、様々な理由から接触を持ちたがらない学生にも安心できるコミュニケーションスタイルを持とうとしている。将来的には学生がストレスを感じずに参加できるように、また遠方の学生も気軽に参加できるためにネットでの開催も検討中ということだ。


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