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伝統が生み出す人間力 〜戸板中学校


◆ 1月19日に戸板中学校で行われた説明会の取材に伺った。個人的に初めての訪問で、出迎える先生方の雰囲気や、休み時間に見学中の受験生に声をかける生徒の姿、ホール(体育館としても使用)、図書館の雰囲気の良さや、コンピューターを活用した生徒の作品など、印象的なコトは多かったのだが、それ以上に印象に残っているのが、入試問題に流れる戸板中学校の学びのコンセプトだ。
 
戸板中学校では「人間力」に裏付けされた「学力」の育成を掲げている。その人間力の具体的なイメージが各教科の入試問題解説の中に表現されていると感じたのだ。資料として配付された解説プリントの中には、各教科の中学に入ってからの指導の狙いと、それに基づいた作問の指針が表現されていた。まずは具体的に各教科を見ていこうと思う。

◆ 国語は「すべての学習活動の源としての言葉を身につけること」を目的とされており、基礎的な語彙力や読解力を問う問題が出題される。問題文のレベルとしては中学生向けの新聞記事、新書の文章が目安になるようで、設問は大きく小説文と説明文の二題の構成となる。小説文の例題では、登場人物の心情を問う問題が多くなっている。

◆ 数学では「考える力を育成するために、諦めることなく、前向きに問題に向き合う姿勢を培う」ことが狙いとされており、算数のテストではその基本として計算力と合わせて、問題を論理的に読み取り考える力が問われている。例題として二つの長方形を直線上で動かしていきながら重なる面積をグラフで表す問題などが出題されている。一見すると難しいが、各小問が次の小問のヒントになっており、そのヒントを論理的に読み解くチャレンジをしていけばクリアできる設定になっている。

◆ 理科は「なぜ、どうして、という気持ちを大切にする」という方針から、観察力を問う問題が出題されている。物理、化学、生物、地学と出題範囲は幅広いが、それぞれの大問に合わせて天気図や骨格図などが出題され、そこから読み取った情報を基礎的な知識と組み合わせることで解けるような問題構成になっている。季節による天気図の違いはなぜ生まれるのか、骨格が作られるための食糧事情や環境という要因は何かなど、視覚的な情報を観察によって意味づけ、読み解く力が求められる。

◆ 社会では「歴史や地理を含めて、身の回りの出来事や仕組み・制度に積極的に関わろうとする」ことを大切にしており、公民分野などでは、国際問題や時事問題なども出題されるようだ。こういった問題の他に歴史などでも、制度や仕組みに関わる「人」に焦点を当てた問題などが見受けられる。

◆ どの教科も共通した狙いとして表現されているのが、「何ができるようになるか」よりも「どのような人間に育って欲しいか」という点だ。ものごとに向かう姿勢、捉える姿勢、そしてその一つの起点となる言葉の力、これはまさしく戸板中学校が育もうとする人間力の一つの現れといえるだろう。

◆ 入試問題に学びのコンセプトが現れてくる。それは各教科の先生方の中でコンセプトが共有され、具現化されているからこそできることだろう。100年を越える伝統の中で根付いた揺るぎない教育方針があるからこそ、戸板中学校はこれまでも、そしてこれからも「高く理想を掲げて、前向きに学ぶ女性」を育ててゆくのだ。
 

 

川頭 邦晴
2008年2月1日更新

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