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| NTS教育研究所スタッフによる【学び】をキーワードにしたコラム |
| オープンマインドが創り出す新しい学び |
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◆ 教材としては、年齢とお金といういわばキャリアプランにもつながる素材が用いられた。まず数学的な基本情報として、グラフが直線になる1次関数を扱うことが示され、年齢と貯金額を座標軸に取ったいくつかの1次関数のグラフと、「宝くじ当たった」、「昔からお金に困ったことがない」といった具体的な人生の事例を書いたシートが渡され、それぞれを当てはめて読み解くプログラムが導入として行われた。 ◆ まだ関数自体を習っていない中学1年生たちだが、問いに対する反応は非常に前向きで、「下がっているのは借金かな」といった具合に、まわりの友達と活発に意見交換を始めるなど実に楽しそうに取り組んでいた。先生方もそういった雰囲気を楽しんでいるようで、普段からオープンにコトバが飛び交う雰囲気があるのだろうなと感じられた。それでいて先生が話し始めると、すっと収束していく感覚は、日常的な空気の中でこそ培われてきたものと言えるだろう。 ◆ 簡単な導入を通してある程度関数の感覚がつかめてきたところで、英語と「かんがえ型」を活用した、「関数って何だろう?」という今回のメインテーマに入っていった。「1次関数」は英語で表すと“linear function”となる。この“function”がポイントで、日本語にすると、「関数」以外にも「機能」「働き」など様々な意味で用いられる。そして具体的な用例として、linear function 以外にfamily function(家族の会合)、mail function (メール機能)などの8個の事例が示された。 ◆ 一つひとつ意味を確認したところで、8つの言葉を3つか4つのまとまりに整理し、それぞれの特徴を考えていった。さらりと書いたが、この一つひとつの仕掛けが実はPISAの読解リテラシーで言う到達度のレベルに相当している。情報の確認をする最初の段階がレベル1、複数のまとまりに情報を整理したのがレベル2、それぞれのまとまりの特徴を考える、すなわち抽象化して情報を分類・照合するのがレベル3に該当する。「メールとデジカメはどっちも機械でひとまとまり」「家族の会合と、学校行事は人が集まるという特徴がある」といったように、同じ素材を使っても実に多様な分類が現れてくる。 ◆ その先も段階ごとに進んでいく。まずは3つか4つに分類・照合した情報をさらに抽象化し、一つにまとめ、まとまりの特徴に名前をつけるのが、論理思考のレベル4。そこから自分なりに“function”をまとめ、一言で書き出すのが批判的思考・評価思考のレベル5となる。PISAの場合は、レベル5までを指標として設定しているが、今回のプログラムでは、もう一歩踏み込んで、年齢とお金の座標軸に立ち戻り、一人ひとりが自分のライフプランというfunctionを描く創造的なチャレンジまで行った。 ◆ 印象的だったのが、ライフプランの一例として先生がスクリーンに描いた先生自身のグラフに、それぞれが自分の言葉で解釈を加えるようになっていたことだ。今回の時間をとおして、関数とは何かという話を聞いたのではなく、自ら思考し、発見した感覚があるからこそ、自分の言葉に置き換えることができるのではないだろうか。 ◆ 到達度とは難易度ではなく、思考の次元の違いを表している。今回のコラボレーション授業は、その思考の段階を実に丁寧に超えていくプログラムだったのではないだろうか。講座の最後に戸塚先生から「今日やったことは高度な内容だったけど、グラフを見てどう読み取るか、言葉で表現したらどうなるか、分類したらどうなるかという考え方は、みなさんが自分の考えをまとめるときに使えるものです。この時間だけで終えることでなく、これから先学んでいくときに持ち続けてほしい考え方です。」とメッセージが送られた。コラボレーション授業を通して体験した考え方のプロセスこそが、先生方が気づいて欲しいと考えていた本当の狙いだったのだ。 ◆ 丁寧にプロセスを踏んでいく学び、これは白梅清修にとっては今回に限ったことではないはずだ。学校の先生、外部の講師などと分け隔てをせずに実に楽しそうに学ぶ生徒たち。学ぶことを楽しむ様子は、途中から飛び込んできた中学2年生の生徒たちや、こうした外部とのコラボレーション企画を積極的に仕掛ける先生方や、自然に集まってきて授業を手伝っていた各教科の先生方からも感じられた。問いかけに対する生徒の反応も豊かな発想に飛んでおり、なによりそうした自分の考えを自由に表現できる空間が創り出されていた。また1日の授業が終わった放課後に、90分という長時間持続する集中力にも驚かされた。 ◆ 学ぶことへの好奇心、そして新しいことを受け入れるオープンマインドな雰囲気。これは今回のように細やかにプロセスを踏んでいく日常的な先生方の仕掛けがあって生まれてくる雰囲気ではないだろうか。生徒にも先生方にも共通したこの雰囲気こそが白梅学園清修の学びの秘密なのではないだろうか。 ◆ もうすぐ新たな3期生たちが入学してくることになる。学内に溢れるオープンマインドな雰囲気がどのように3期生たちを巻き込み、どのような新しい学びを生み出していくのか。白梅学園清修にはますます注目していく必要があるだろう。
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川頭 邦晴
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2008年1月23日更新
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