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理念を具現化する分析の視点 〜宝仙学園理数インター〜

宝仙学園理数インターの入試報告会、入試問題の分析には注目すべき点がある。出題内容や正答率、各科目、各回ごとの得点分布の形をグラフなどで明確に示し、合格ラインの引き方からその意図に至るまで、丁寧に説明されていた。

◆例えば、資料中の算数を見ると、「ノウハウだけしか持っていない受験生には得点は難しい問題の出題を意識した」「得点分布はツインタワー型となり、理数インターの求める学力を持っているか否かを明確に判定することができたと評価できる」と書かれている。ある程度のノウハウを持っていれば一つ目のタワーには到達できるが、二つ目のタワーにはそれだけではたどりつけない問題。そして、二つ目のタワーが合格ラインとなったため、「明確に判定することができた」のである。そういった出題の意図と、結果を自分たちの言葉で明確に分析、考察されている点が、既存の報告会と異なる理数インターの特長である。

◆では具体的に算数の問題を見てみよう。ツインタワー型ということは、合格者と不合格者の間で正答率に開きが出た問題がいくつかあるはずだ。その問題を突破する思考力こそが「理数インターの求める学力」である。例えば、時計ばんの形をした円周上を二つの人形が動く問題を見てみよう。12時の位置に人形Aが、3時の位置に人形Bが配置され、人形Aは20分、人形Bは30分で円周上を1周する。

◆問われているのは、「Aが初めてBに追いつくのは何分後か」「2度目に追いつくのは何分後か」といったことである。この二つの問題は、合格者の正答率が60%を超えているのに対し、不合格者は10%程度と、正答率の差が50%以上現れている。

◆動きの手順としては決して難しい問題ではないだろう。しかし解くためには、情報の見方を変えることが必要になるだろう。たとえば、この問題であれば、円周を角度として捉えることで、解決の糸口はすぐに見つかる。Aは20分、Bは30分で360度を動くと考えると、1分で6度ずつBが早く進むことに気付くだろう。最初に90度はなれている、と問題文の条件設定も読み替えれば、もう解けたも同然である。こういった問題は、解き方を聞いてしまえば簡単に思える。しかし、試験会場で限られた時間の中で視点を切り替えるためには、そういった思考訓練の積み重ねが必要となるはずだ。

◆入試問題がその学校の顔であることは、【コラム】【入試に見る学び】などでもたびたび取り上げてきた。それは、入試問題から、学校の求める生徒像が見えるからであると同時に、入試問題が学校の戦略を現しているからとも言えるだろう。コンセプトから見えてくる送り出したい生徒像、そして入試問題から見える求めている生徒像。この2つが明確になり、結びついてこそ、学校のビジョンは形となって具現化する。それこそが、学校が放つ学校選択者へのメッセージである。

◆今回取り上げた以外にも、理数インターの志向性が現れた問題は数多くある。試行錯誤を繰り返し、情報を自分なりの角度で解釈する力を理数インターでは求めている。それはまた、入試問題を自分たちなりの切り口で分析し、報告会で示された先生方の姿勢そのものである。理数インターの掲げる「理数教育」や「リベラルアーツ」の一つの姿は、早くも明確な形として発信されている。



川頭 邦晴

2007年3月20日更新

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