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「父親力」のススメ

『いま、試される父親力』─ 2007年3月27号の週刊ダイヤモンド別冊のタイトルだ。教育ニュースなどでも何度か取り上げてきたが、今、「父親」をターゲットにした子育てや子どもの受験とどう向き合うかというような、単なるガイドブックではなく、自ら考えさせる雑誌が増え、そして売れている。

◆ なぜ、いま、「父親」なのだろうか??そこには、大きな社会の変化が根っこにあるような気がする。働く女性の割合が増える一方で、子どもの数が減ってしまった日本。男女共同参画社会、仕事と育児の両立支援で少子化対策をと言いつつ、育児休暇を取得する父親を見かけることはほとんどないのが現状ではないだろうか。終身雇用ももはや夢の世界となり、20年前にはその言葉すら聞いたこともなかった「フリーター」や「ニート」も減少傾向にはあるものの、国が支援をするほどの数となっている。こうした変容する社会の中で、いま、働く父親たちは、「生き抜く力」の必要性を日々強く感じているのではないだろうか。

◆ そして、『いま、試される父親力』には、「見えない学力、社会を生き抜く力が身につく学校は?」という大見出しに加え、「学校を偏差値だけで決めるのは間違いだ」「学校選びでは、その家庭の“価値観”が試される」というフレーズが躍る。父親ならではの社会人としての視点で世間の情勢をつかみ、家庭教育をマネジメントすることで、「わが子の幸せにつながる学校選び」「いい学校とは何か」を考えていこうというものだ。

◆ “長い人生を生きていくうえで必要な力とは何かという基準をはっきりと持ち、「見えない学力」も伸ばしてくれる学校”として、たくさんの学校を紹介しているのも『いま、試される父親力』の特長といえる。「公立vs私立」「高校入学ありvs中学入学のみ」「大学付属準エスカレータ派vs他大学進学推奨派」「カトリックvsプロテスタント」「都心型vs郊外型」「沿線別」など、二者択一方式でそれぞれ学校を絞り込んでいけるのも面白い。

◆ さらに、「新基準」として、「お得校」「ユニーク校」「女子校」「全寮制中高一貫校」「公立中高一貫校」の5つを挙げ、2、3校ずつ授業風景なども交え、その教育内容を詳しく紹介しているところが興味深い。

◆ また、「偏差値」や「大学進学実績」という量的な基準ではなく、「質的な基準」=「教育の創意工夫度」「教育の質」を測る基準として、当研究所、本間勇人による「クリエイティブ・スクールを探すための12の新指標」も掲載されている。

◆ 「父親力Colum」には、同じく当研究所の国際教育情報室長、岡部憲治による「帰国子女の受け入れでわかる教育方針」が掲載され、帰国子女に人気の中高一貫校30校の紹介とともに、「帰国生」と「一般生」の学習交流が学校力を上昇させることについてが記されている。

◆ 「偏差値でない基準」を足がかりに、今、お父さんたちは深く考えている。以前のコラムで、入試でも家族のあり方が問われていることを記したが、それは同時に家族をまとめあげる「父親力」が問われているということなのかもしれない。確かに、20年前の学校説明会にはお父さんの姿はほとんどなかったし、受験相談の電話もお父さんからだとビックリするほどだった。しかし、最近はどうだろう。お父さんが仕事帰りに立ち寄れるようにと「夜の説明会」を設定する学校も登場し、実際、お父さんたちで会場は溢れるほどになる。そんな学校のひとつである中村中高では、「おやじの会」の活動がますます活発になっていると言い、説明会でも在校生のお父さんたちが積極的に未来の「おやじ仲間」へ熱く想いを語る。ここ数年の中村中の伸びを見ると、この「父親力」をまとめあげることも学校自身のパワーアップにつながっていると言えそうだ。「父親力」をキーワードに、まずは「我が家の価値観」について深く掘り下げてみてはどうだろうか。



山本 真美

2007年3月14日更新

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