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NTS教育研究所スタッフによる【学び】をキーワードにしたコラム

学校説明会に表現されている中村中学校の「授業」


◆ 中村中学校で4年前からはじまった授業への取り組み。毎年テーマを掲げ、年間目標を立てて取り組んでいる。1年目は「授業第一」、2年目は「授業を耕す」、3年目は「授業を発見」、そしてひとつの区切りとして今年のテーマは「授業は完成したか?」

◆ 中村中学校の説明会では常に授業はオープン。いつでも、どんな授業でも見学することができる。それだけ、授業に対する姿勢に自信と自負があるということだろう。今回は夜の説明会に伺ったので授業そのものを見学することはできなかったが、先生方のお話の中からも十分に中村の「授業」を感じることができた。

◆ ところで中村の授業とは何か。説明会で演台に立たれた4名の先生のお話を伺う中で、「教師と生徒の間に繰り広げられる問いと答えの連鎖」がひとつのキーワードだと感じた。

◆ 授業中はもちろん、授業外でもいかにして生徒と教師の間に問いを生み出せるか、校長先生をはじめ先生方が常に知恵をしぼっている。そのひとつが、「校長先生いちおし新聞記事」。中村の掲示板には、校長先生自らが、ぜひ生徒に読んでほしい、読むことで学習意欲や行動を促したいと願って切り抜いた新聞記事が随時掲示されている。世界遺産、ジャワ島中部地震、スーダンの難民問題、冥王星。話題は実に多岐な分野に渡って生徒の興味や関心を刺激する。「30歳の自分」をコンセプトにキャリアデザインを重視している中村らしく、将来の生きかたを考えるヒントにもなる素材がずらりと並んでいる。

◆ しかし校長先生は、「記事が貼ってあるだけでは、コミュニケーションは一方通行」と言う。新聞記事を媒介にさらに問いを生むにはどうすれば良いのか。そこで企画されたのが、全校生徒がこれまで掲示した記事から最も興味を持ったものを投票する、「世界を知ろう!あなたが選ぶ『校長いちおし新聞記事』」。例え直接的な会話はなくても、投票をきっかけに生徒とのコミュニケーションが加速する。常に問いがあふれた空間や仕掛けを創りだそうという熱意のひとつのあらわれだろう。

◆ 「問い」というキーワードは、教務のお話をされた石井先生、進路指導のお話をされた永井先生にも共通する。石井先生は理科を例に取り、先取り教育の理由を理科をこう説明された。「現行のカリキュラムだと、生徒がなぜ?と疑問をもったときに答えられないことが多いんです。答えを理解するために必要な知識をまだ習っていないことがあるからです。だから中村の理科は、生徒の疑問に答えることができるよう、全分野を見直し系統立ててカリキュラムをデザインしています。」先取り教育を「無駄なく・無理なく」と表現する私学は多いが、このように明確に「問い」を中心に据えた表現で語れる学校はまだまだ少ない。

◆ 永井先生からは授業の予習についてのお話。永井先生の英語の授業は予習を徹底している。毎朝ノートを集め、生徒が全員予習をしているかどうかチェック。ひとりでも予習していない子がいたら、その日の授業計画を変更するという徹底ぶりなのだそうだ。瞬間瞬間の生徒の状態を把握して、的確な問いを投げかけていこうというこだわりが感じられる。毎回、2つのパターンの問いを設定して授業に臨むというのは、並大抵のことではないだろう。

◆ 石井先生が最後に「あくまでも私見ですが」と前置きしてこう言った。「私個人としては授業というのはなかなか完成するものではないと思うんです。日々生徒の成長に合わせて勉強していかなければなりません。授業の完成は、まだまだ先だと思います。」

◆ 「授業は完成したか?」。校長先生から現場の先生へ、そして先生から生徒へ、ひとつの言葉から続いていく問いの連鎖が、中村中学校の授業を創りあげるパワーとなっているのだろう。
 

吉井 千花
2006年10月26日更新

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