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公立中高一貫校の適性検査の可能性


◆教育改革が声高に叫ばれる昨今、公立学校の改革は一つ大きなテーマであろう。中高一貫化にともない、公立でも独自に選抜試験を課す学校が増えてきている。入試問題には、学校の求める人物像や、やっていこうとする教育などが見え隠れする。今回は平成18年度の山口県立の中高一貫校による作文の問題
(http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/kyo-koko/kako-mondai/H18.pdf)参照
をとりあげて考えてみたい。

◆問題には、年代別インターネット利用者数をあらわすグラフと、それに対する対話の様子が書かれており、作文の問題へと繋がっている。16年度、17年度においてもグラフを読み取る問題が出題されており、データを読み取る能力を大切にしている様子が伺える。また、続く対話文を見ていくと、情報の活用としては「調べる」「まとめる」「情報交換をする」ことを大切にしているようである。これらの学校では、データの活用と情報交換、教師と生徒の対話が一つのテーマとなっているのであろう。

◆入試問題という制約がある中で面白い試みといえるが、しかし、同時に若干の物足りなさを感じる部分もある。それは、グラフから読み取れる情報に関しての着目点の不明瞭さと、対話の内容の広がりを狭めてしまっている問題設定である。

◆例えば問1の模範解答を見ると、全体的に利用者が増えている点と、高齢者の利用率が特に増えている点をポイントとしてあげている。しかし、もっと目に見えない部分を問い掛けるような問題設定ができるのではないだろうか。無論、目に見えて読み取れる情報以外の部分を書かせるというのは適性検査として難しすぎるという考えもあるだろう。とはいえ、今回の問題ならば、対話文を活用すればそのハードルを越えられるはずである。

◆今回の対話文は、問1と問2を繋ぐためのものという要素が強くなっている。そのため、問1の解答部分とその後の対話の関連性が殆どなくなっていしまっているが、例えば
「みんなはこのグラフを見るときにどういう部分に注目するかな」
「そういった違いはどうして出てくるんだろう」
など、どうグラフを読み取るかという対話に変更すればどうだろう。問1の模範解答にあるような内容は、対話の一部として表現し、そういった情報の生まれてくる背景を考えさせるような内容を盛り込むと良いのではないだろうか。

◆例えば6〜12歳と13〜19歳というグラフの区切り方は大いに利用できる。この部分の差からは小学生と中高生の差という読み方もできるはずである。そうするとこんな設問も見えてくるかもしれない。
「中学に入ると、どのように使い方が変っていくと思いますか」

◆現状の認識を出発点に未来を考える。そのことは『ゆとりのなかで「個性」を大事にし、国際社会で通用する人材を育てていこう』という山口県の中高一貫校が掲げるコンセプト
(http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/kyoshoku/pdf/yutori.pdf)参照
に繋がるはずである。

◆入試問題は、その後に行われる教育の鏡となりうるものである。一貫制の導入から3年、初回の入試で入った中学生が高校生へとなる時期である。おそらく更なる進化への模索が進んでいくのだろう。奇しくも山口県は『教育の再生』をテーマに掲げる安倍首相の御膝元である。学校の変化や改革を見る上で、山口県の、そして全国の公立中高一貫校の試験問題には注目していく必要があるだろう。

                                

川頭 邦晴
2006年10月19日更新

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