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多用なコミュニケーションスタイルを考えさせる自修館中等教育学校

自修館中等教育学校のオリエンテーションは「チーム学習」というスタイルをとって、同校のアイデンティティを確立するための関係作りをする。また教育の1つの柱に「探究の時間」という授業がある。テーマを発見し、そのテーマをリサーチやインタビュー、実験を通して深め、その成果を探究文化発表会でプレゼンテーションする。オリエンテーションでは、このようなプロセスを体験して、「探究」の準備も行う。

この学習体験でもっとも本質的で基本的な行為は、コミュニケーションである。人間関係を作るときも、リサーチするときも、インタビューするときも、議論するときも、編集するときも、発表するときも、コミュニケーションの行為が互いにうまくいかないと、探究は深まらないし、満足のいく成果も生まれない。自分のスタイルに固執したコミュニケーションではなく、直面した問題や環境、相手に応じて柔軟に様々なコミュニケーション行為ができることがポイント。

さて、自修館中等教育学校の国語の問題を見ると、そのような豊かなコミュニケーションを大事にしていることがよくわかる。第1回目の午前に出題された問題は、「雪を見たことがない子どもたちに雪がどのようなものかを説明する」問題である。条件として、雪の特徴、雨との違い、雪が降るとできること、雪が生活に及ぼす影響などが設定されている。第1回目の午後に出題された問題は、「おばあちゃんの家に遊びに行く際に、お父さんが車で行こうと提案しているのに対し、電車が大好きなので、電車で行こうと説得する文章を完成させなさい」という趣旨の問題だ。

二回目では、「忘れられない」という言葉を使って、短文を作る問題が出題。その際、必ず二つ以上の分で作ることとある。(1)では「なぜなら」という言葉を入れなくてはならない。これは、関係を述べるということと、二文という限られた制限の中で簡潔に伝える表現力が求められる。C日程で出題された問題では、スキー教室の感想文がかかれているが、先生に「これでは不充分」だねといわれてしまい、それを元の文章の表現は変えてもよいが、内容を削ってはならない。先生の「不充分」という意図を理解すると同時に、感想文を書いた人物の表現したかったことも汲み取らなければならない。つまり、複数の人物の言いたいことを想像して編集しなくてはならない。

一般的にコミュニケーションは、自分の考えや意見を相手に伝えることだと理解されている。しかし、説得する時、説明する時、簡潔に論点を述べなくてはならない時、間にたって調整しなくてはならない時、コミュニケーションスタイルは変化する。「伝える」だけではなく「伝わる」創意工夫をすることが要求されるわけだ。自修館の国語の問題を考える生徒たちは、そんなシチュエーションを想像/創造しながら文章を編集していくのだろう。なるほど、入試問題とは学校教育の顔である。

石井 麻美
2006年2月8日更新

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