■□ 広報媒体から見る私立中高一貫校の動向
by 片岡 亮一
子供の持った個々の才能を活かすために、最も適した学校はどこなのか。学校選択とは、学校の個性や特色を知り、一人一人が自分に適した学校を見つける作業である。そして、学校にとって広報媒体とは、まさに学校のもつ表現そのものであり、教育内容を表す場ともなる。受け止めた生徒たちによっていかに適切に学校が選ばれていくか。これは学校による表現がいかに学校の持つ教育内容を伝えているか、いかに表現と内容のギャップを埋めているかに掛かっているのではないだろうか。同時に、多様に展開された広報媒体が、いかに的確に作用し、学校の教育の表現となるのかも鍵になるだろう。
ここでは2003年7月6日に開催された「私立中学フェア」(詳細は§1参照)において、来場者として集めることのできた情報を参考に、各私立中学が生徒獲得にむけて、どのような広報媒体を用意しているかに焦点をあてていこうと思う。
§1「私立中学フェア」にみる私立中高一貫校の広報活動の様子
2003年7月6日、日能研の主催により、東京、神奈川の二会場で「私立中学フェア」が開催された。首都圏を中心に多くの私立中高一貫校が参加し、各学校ブースでは、資料の配布と来場者の個別相談が行われていた。各校、さまざまなツール、資料を用意しており、来場者が自由に手に取れる資料も多く見られた。これらの広報媒体について、学校の用意状況を来場者の目線で調べ、まとめてみた。データは東京会場(男子校35校、女子校73校、共学校54校の計162校)を対象に調べたものである。
§1−1 9つの広報媒体と、用意の状況
各学校が用意した広報媒体を分類すると、パンフ、入試要項、過去問題、その他チラシ類、小冊子型パンフ、制服の見本、制服(ミニチュア)、ポスター・パネル、記念品など、計9項目にわけられた。
(表1)は、これら9項目について、それぞれ参加校のうちの何%の学校が用意していたかを調べ、表にしたものである。
(表1)媒体の種類と各校の媒体用意状況
|
学校数 |
パンフ |
入試要項
|
過去問題 |
その他
チラシ等 |
小冊子型
パンフ |
制服見本 |
制服見本
(ミニチュア) |
ポスター
・
パネル |
記念品 |
| 計 |
162 |
96% |
81% |
49% |
65% |
14% |
28% |
20% |
99% |
55% |
| 男子校 |
35 |
91% |
77% |
51% |
60% |
6% |
6% |
6% |
100% |
51% |
| 女子校 |
73 |
99% |
84% |
49% |
67% |
19% |
41% |
29% |
100% |
53% |
| 共学校 |
54 |
94% |
80% |
46% |
65% |
13% |
26% |
19% |
96% |
59% |
|
※入試要項と過去問題は、別紙の形で用意されている場合の他、パンフ内に記載している場合も、学校による用意があったものと見なした。
| ● |
9割を超える学校が、パンフ、ポスターを用意しており、確認のもれを考慮すると、ほぼ全学校が用意していた。現在、広報媒体のメインとなっている。一方、小冊子型のパンフを導入している学校はまだまだ少ない。 |
| ● |
女子校の7割が、制服の見本(ミニチュア含む)を用意している一方、男子校では1割強にとどまっている。他の8項目においても、わずかだが、女子校の準備状況が他を上回る傾向となった。 |
| ● |
ここでは公開しないが、ブースコーナーの外に陳列されいた自由に取れる資料だけを集めて作成したデータと比較すると、過去問題や記念品等、ブースで初めて得られるものも多々あることがわかった。 |
§1−2 媒体の個数と志望者数の増減
用意した媒体の個数によって学校を分類し、媒体数と志望者増減の相関を調べたところ、次のような結果が得られた。
(たとえば、【グラフ2.男子校】からは、「男子校で媒体数が3以下の学校の35%が志望者数を増加させている」ことが読める)
●「全体」を見ると、媒体数が3以下の学校の約3分の2が、志望者数を減少させている。
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媒体数が少なくて保護者に十分な情報が届いていない可能性が考えられる。 |
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一方、生徒数の確保において、おもわしくない状態が続くことが、経済上、広報活動に制限を加えているという見方もできる。 |
●「男子校」、「共学校」においては媒体過多・過小の学校よりも、程よい媒体数の学校のほうが、志望者数にいい成果を残している。
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人気の少ない学校が目を引く為に過剰な媒体用意を行ってしまっている可能性がある。 |
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過剰な媒体が、学校の内包する魅力のアピールを薄め、ブランド力を落とした結果と考えることもできる。 |
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全体として傾向が読める事から、媒体戦略だけで生徒獲得の戦略を立てられる可能性がまだあるといえる。 |
●「女子校」においては媒体数と志望者増減に明確な相関はみられない。
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媒体で説明される情報と実際とのギャップがあるといえる。 説明しきれない何かがある という保護者、受験生の反応jがあるのかもしれない。 |
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明確な相関が見られないことから媒体戦略以外の何かが求められているといえる。 |
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