(1) 特待生制度で優れた生徒を集める
最近、受験雑誌の学校広告には、『国公立大・難関私大を目指す』という大学受験を強調する学校もあるが、『人間形成=人間教育と学力形成』、『豊かな人間の育成』、『人間らしく生きる』、『生きる力を育てる』、『心を育てる』など人間教育を訴えるものが多い。学校教育には学力形成と人間形成は車の両輪で欠かせないが、人間形成の達成度は数値で表すことができないために、すばらしい教育であっても外部には分かりにくい。一方学力形成の一端である大学進学実績は数値で示せるので分かりやすい。私立中高に在籍する生徒はほぼ全員が可能な限り大学に進学したい希望を抱いているだろう。
しかし、難関大学合格の実績を上げるのは容易ではないが、一人でも多くの優秀な生徒を入学させ、きめ細かい指導により可能となる。そのためには学費無料などの条件で優秀な生徒を入学させることである。
(2) 個性を生かす進路学習の徹底
東大に1名合格させれば学校は10年はもつと言われた時代は終わった。すべての学校が東大など難関大学を目指すのは無理なはなしであり、成績が優秀であるから東大を受験するというのも、"当大卒がリストラされる時代"(「教育の論点」文芸春秋)には考え直さなければならない。
これからは、福岡県立城南高校の『城南ドリカムプラン』にみられるような「個性を生かす教育」を実現し、自分の興味や関心をもとに、生徒自身が自分の将来設計をし、その実現に向けて自分の進むべき道を模索する「進路指導」から「進路学習」への転換が必要である(「高校が生まれ変わる」中井浩一著中央公論新社参照)。
(3) 社会人経験のある教師の採用
大学を卒業してすぐに教職につき、長期間学校という狭いエリアで暮らしていると実社会と遊離し、複眼的にものが見られなくなり、組織がよどんでしまう。組織を活性化させるために社会人経験のある人を採用して外の風を入れることが大切である。優秀な人でも企業からリストラされる今こそ有能な社会人経験者が採用できる。
(4) 生徒による授業評価制度の導入
教師は生徒を評価するが他者特に生徒から評価を受けることはなかった。「受験で上位の部類に入る私立に入学しましたが、高額な授業料を払っているにもかかわらず、やる気のない先生ばかりで当然のように遅れてきます。もちろん授業は面白くなく、生徒も内職するのが当たり前。何のために学校に行っているのか分からなくなります。『こんなハズじゃなかった』と考えると涙も止まりません。」(2001・10・22 朝日新聞)
このような私立学校をなくすためにも「授業評価」の実施が必要である。また学力の低い学校ほど教師は勉強しなくても済んでしまう。教師が自己研修し、意識改革をせざるをえないように生徒による授業評価制を導入する。
(5) 進路担当者はもっと勉強して「進路に強い学校」に
進路担当者は、進学先(大学・短大・専門学校)の内容について精通していなければならない。担当者は各大学などを丹念に調べて、強み・弱みや卒業後のどの方面の就職に強いかなどを知り、生徒の相談にできるだけ応えられるようにしておかねばならない。これは受験のための教科指導とは異なる。
(6) キャリアカウンセラーを置く
最近「心のケア」のためのカウンセラーを置いている学校が多いが、都立晴海総合高校のように職業に関するカウンセラーを置いている私立学校は皆無である。大学等の進学が将来の職業につながる進路学習をより効果的にするためにはキャリアカウンセラーが必要である。実社会の経験ある有能な人材をスカウトすればよい。正規の職員でなくともよい。
(7) 専門家・卒業生などによる講演
大学受験対策、大学での勉強・研究、大学卒業後の職業など専門家を招いて講演をしてもらう。招く際にはただ話をして終わりではなく、生徒にとって役立つ資料を提供してもらうことが条件となる。卒業生や在校生の保護者の中に専門家がおれば、「登録制度」を設けて活用するのがよいであろう。
(8) 生徒からアイデアを募って学校活性化を
三流校、名も知られない学校というイメージを最も辛く感じているのは生徒だろう。最も切実な思いをしている生徒から現状打破のアイデアを募ると思いがけない妙案が出るかもしれない。
(9) 何か一つ強みを持った学校に
高校の運動部が全国大会出場の常連であることもある意味では一つの強みであるが、これだけでは中学の生徒確保に結びつかない。大学進学に関しては、何か特定の分野(例えば、医療系・看護福祉系・語学系など)に多く進学することや、人間教育では、最近特に顕著だといわれている「指示待ち人間」を輩出しないこと、「○○校の生徒は社会常識があり実にすばらしい」と話題になるほどの躾教育を行っていることなどの強みを持つのである。東大卒でも「一親等という言葉を聞いたことがない」と恥もなく言うようでは困るのである(某テレビ番組でのこと)。
(10) あらゆる機会に学校をPRする
まめに学校説明会、作品(演劇・音楽・絵画など)発表会、授業見学会を催し、受験雑誌などに取り上げてもらう。時には執拗と思われるくらいまで影響あるところに情報を流し続ける。大切なのは「何でも聞いてください。できる限りお答えします」の姿勢である。
最近はどのような医者がいるかをホームページで公開し、さまざまな情報を伝えている病院が増えているという。学校も受験生・保護者が最も知りたいと願う教師の姿(特徴・趣味・研究論文・研修内容など)をホームページに載せてはどうだろう。