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講演 「市民性学習(Citizenship learning)」 立教池袋中学校・高等学校 高野利雄先生 |
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1.市民性学習の成り立ち―高野先生の教員生活と実感を振り返って―
しかしその一方で、ご承知のように80年代は校内暴力で学校が荒れますし、不登校の問題も出はじめます。90年代に入ると神戸の事件が起こり、各学校にスクールカウンセラーが導入され、教師と生徒の関わり方が問われるようになりました。
2000年3月にカナダでのピア・サポートの研修に参加し、5月にはイギリスのロンドンでCitizenship Educationの実際を見学してきました。そして、この二つを続けて勉強したとき、Citizenship Educationとボランティアの精神の中にカウンセリング・アプローチが入っていると改めて思ったのです。Citizenship Educationは、教師と生徒のカウンセリング的な関わりが土台となって展開されています。 |
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2.市民性学習の取り組み
本校では、修学旅行を高校1年生でやると1週間穴のあく期間があるので、その間に市民性学習を進めてもよいなということで、はじめています。
市民性とは、まずは目の前にいる人がどのようなことを考え、何をしようとしているのか――カウンセリングでいう傾聴していく力――が必要です。自分自身をはっきり伝える力がなくては、市民性をスタートできないのではないでしょうか。そして、人と人との関わりのなかで、共に直面している解決課題をいかに乗り越えていくのか、いかに民主共生社会を創造していくか、という問題があります。そして、ここでは共に解決課題に取り組んでいくこと自体が大事ではないかと思っています。その際、小集団での自分の役割を認識していくことも重要となってきます。 |
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3.市民性学習の事例公開
高野先生による市民性学習の概要のご説明後、会場では、実際の市民性学習の様子をビデオやスライドで見ることができました。以下では、その一部を紹介したいと思います。 ■対人関係トレーニング ■小集団での役割と責任 ■自分の将来を考える ■解決課題に取り組む ■プログラムのその後 |
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4.市民性学習のねらい
生徒たちが「世の中を動かす力」「世の中を助ける人」をどう描くかというと、「なんでも助けられる腕、ひとをひきつける傲慢なボディ、悪者を倒す脳、あきらめない足、発想が豊か、決断力・思考力のある人、目は鋭い視点を持っている、耳は人の話を聞く、口は説得力、手は器用、足は行動力、心は広い心で・・・」と、そんな人間の絵を模造紙に描いていました。 中1の4月というと、生徒たちはこれからどんな教師について、どういう目をもって、どういう耳をもって、自分のクラスにはどんな人がいて、どのように関わっていけばいいのか・・・といろいろなことにドキドキしています。それが6月ごろになると、人間関係がごちゃごちゃ始まるというのは相変わらずです。 |
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まだ中高生の生徒たちは、老人ホームにいらっしゃるお年寄りに人生があったとは捉えられないんですね。もちろん頭では理解していますが、「はじめからそこにお年寄りがいた」という感覚なのです。ですから、お年寄りを「お手伝いしてあげる対象」として見ていて、どうしても一人の人間としてのお付き合いができない。目の前にいるこの人は、どのような人生を経て今ここにいるのか―ただし、決してそのためだけにお話を聞いてはいけない―それを、クラスの仲間同士でやってみてはどうかと考え、中3でやってみました。今まで自分がつきあっていた友達が、幼稚園や小学校でこんなことを経験していたと、生徒たちはお互いに初めて知るわけです。そうすると、クラスメイトのことが身近になっていくのです。 相手の話を聞いた後、今度は相手の人間になったつもりで伝記を書いてみます。話を聞いた範囲で、これまで相手が経験したことを相手の気持ちになって伝記を書いてみるのです。ある生徒は、「15年間の人生の中で、人はそれぞれの、楽しくもあり、辛くもある人生を歩んでいる」と書いています。このように、自分の目の前に座っている人が、人間としてそれぞれの人生の歩み、想いを持っていることに気づいてもらうことがねらいです。 市民性学習とは、人と人との関わりあいの中で人間形成をやっていくプログラムです。日本では、「自分は市民である」という意識が持ちにくい社会関係があると思います。しかし、グループという小集団にはじまり、クラス・学年全体、そして社会という集団の中で、実際に体験し、その問題解決を探ること、人と人との関わりの中で成長していくということが、今後ますます大切になってくるのではないでしょうか。
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5.質疑応答 高野先生の講演後、会場にいる先生方ならびに教育関係者の方々から、質疑応答とコメントが寄せられました。
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