
| コンセプトの解説:Kyoei & Honda 最先端学習プログラム |
| §1 問題意識とねらい |
| ◆ 21世紀は、インターネットやモバイル電話などITネットワークの拡大はすさまじく、その勢いを制することができないほどです。また、自動車などモビリティーの力の強い技術がさらに世界を席巻することも間違いないでしょう。近代化の向かうところは、情報の「合理性、効率性、空間克服性、時間超越性」です。そして、このことはすべてが個人化・細分化していくことを象徴しています。たしかに、個人の自由という側面からすれば歓迎すべき事態です。 ◆ しかし、この個人の自由は、常に公共性とぶつかります。この両者のバランスをいかに作っていくかというのが20世紀の歴史だったと思います。そして、その形成の主役は、前世紀は国家でした。それが、国家による形成ではなく、個々人がその形成に参加できるかのような動きを情報技術の進化が促進しています。 ◆ それは大変よいことです。ただ、個々人がどういう人格なのかというと、21世紀になったからといって、急に多くの人々が、自分で判断したり異文化に属する他者の気持ちや考えを受け入れたりして、共生していけるコミュニケーション能力や技術を修得できる人格になったわけではありません。まだまだ成長する必要があります。しかし、情報技術の進化のスピードは増すばかりです。人格が空洞化した情報技術の修得は、ここで説明するまでもなく、多様で悲惨な事件をひき起こします。 ◆ 21世紀は、20世紀と違って、国家だけではなく、市民社会や市民1人ひとりが協働して情報技術の進化の速度に負けないように、人間作りもしていかねばならないのです。それでは、この人間作りに果敢に挑戦する場はどこにあるのでしょう。それは学校をおいて他にありません。特に私学は、心の側面だけでなく、知の側面も統合し、さらに心や知が他者や自然とどうかかわっていくのかという人間の全体を形成するプログラムを開発し続けています。 ◆ このような人間の全体像の輪郭が、生徒1人ひとりに見え、それが機械論的ではなく、身体化されるには、生徒は自分や社会や自然を含む地球全体をプロデュースする潜在的な能力を養う必要があるでしょう。国や他のだれかが自分や社会や地球のことを考えてくれるだろうという発想では、自分は誰かに動かされる機械の一部分にすぎなくなります。◆ 自分で問題を見つけ、解決し、判断することが望まれているのが21世紀ですが、このことは自分とはいかに社会や自然とかかわりながらどのように生きていくかということを知ることであり、またそのように生きていくには、社会や自然をどのようにして行く必要があるのか常に問い続けることです。私たちはこのことを自分や社会や自然を含む地球全体をプロデュースする力と呼んでいるのです。 ◆ そして、こういう自分で学び、考え、判断する力と他者と協働して1つのものを創り上げていくプロデュースの力を身につけるには、コミュニケーション能力を養う必要があると考えています。またただ話し合っているのではなく体験したり、調べたり、議論したり、表現したりという学習行動が、コミュニケーションと連動して思考力を発達させると思います。そして思考力とコミュニケーションと学習行動が相乗効果を上げていくには、一方的でレッテル貼り的な評価ではなく、おたがいに承認し信頼をつくっていく相互承認による評価が重要ではないでしょうか。最近ポートフォリオという考えが話題になっているのも評価のあり方の見直しが重要であることの表れだと思います。ただ、ここで注意したいのは、たとえプロセスを評価するにしても、それを一方的に評価するのでは、評価の内容は変わるけれども、評価の視点は固定されたままで、レッテル貼り的にならざるを得ない危険性を回避できないのではないかということです。相互に承認し信頼を作っていくということが評価においては大事な点だというのはそういうことを意識しているからです。以上の理由から、「プロデュース」「コミュニケーション」「学習行動」「思考」「相互承認によるプロセス評価」を究極の目標とする学習プログラムが重要であると考えています。 ◆ さて、以上のような問題意識を持ち、それを解決していくために何をすべきかという目標を実現するには、信念と実行力が必要です。人間作りに対する理念をしっかり持っている必要があるのです。20世紀型の学習だけでは、21世紀における問題の解決は困難です。高度な技術が必要だからです。そこで、信念をしっかり持っている私学と高度な技術を生活のレベルに活用しているHondaが協働することで、情報技術の進化の速度に負けないような人間作りの夢を実現しようというプロジェクトが生まれたのです。 |
| ≫§1 問題意識とねらい |
| §2 2泊3日の学習プログラムの流れ |
| §3 学習プログラムにおける「才能開発の仕掛け」 |
| §4 学習プログラムにおける「学習行動の仕掛け」 |
| §5 学習プログラムにおける「コミュニケーションの仕掛け」 |