CALトップへ



◆授業

乱数サイで円周率を求めよう!
 公開授業を行う教室へ移動します。今回は特別教室にて授業が行われました。教室は広く、明るく大きな窓は開放感を与えてくれます。

見学される先生方が教室内に入ると、生徒の緊張も高まります。生徒の元気な号令で、6時限目の授業が始まりました。



永見 「みなさん、こんにちは!」
生徒 「こんにちは!」

元気よく返事をする生徒たち。今回の授業を楽しみにしているようです。



永見

「今日は1年間のまとめをします。今までいろいろなことをやってきたね。この前のカプレカ−数で遊んだことも楽しかったね。みんな覚えているかな?3ケタだったら?」

生徒 「495!」
永見 「4ケタだったら!?」
生徒 「7641!」
永見 「お〜よく覚えていたね!じゃあ、この表はなんだか覚えているかな?」

永見先生が小さな黒板に書かれた表を指差します。

生徒

「座標平面!」

永見 「その通り!では、座標平面って誰が見つけたのかな?覚えている人いる?」
生徒 「・・・」
永見 「んっ、忘れてしまったかな?誰か覚えている人いない?」
生徒 「デカルト・・。」
永見

「そうだね。今日は、座標平面と乱数サイを使って円周率を求めてみたいと思います。前の時間にみんなにサイコロを振って出してもらった数字がここに書いてあります。10個目も書き込んでもらいましょう!」


永見先生が生徒の名前を呼ぶと、「はい」と大きな声で返事をします。サイコロを振り、黒板の前に立ち、大きな字で数字を書き込みました。

永見

「はい、ありがとう!これでNo.1〜No.10まで出来ました。これから、この数字を座標平面にプロットしてもらいます。その前にプリントを見てください。"モンテカルロ法を使って"と書いてありますね。ここで復習をしたいと思います。確率って聞いたことある人いるかな?」

モンテカルロ法1


「あるよ〜!」「僕もあります!」とみんなが手を挙げます。

永見

「みんな知っているんだね。じゃあ、必ず起こる確率はいくつか分かる?」

生徒 「1!」
永見 「絶対に起こらない確率は?」
生徒 「0!」
永見 「そうですね。ではプリントの表に、みんなが乱数サイを使って出してくれた黒板の数字を写してください。写し終わったら、座標平面のプリントにプロットしてみよう。座標の書き方は、XとYどちらを先にプロットするのかな?」 座標平面のプリント
生徒 「Xです。」
永見 「うん、No.1なら、(0.1,1.3)というように表します。では、点をプロットしていきましょう。」

生徒たちが作業を始めます。 みんな丁寧に、書き込んだ数字をプロットしていきます。

永見 「プロットした点のナンバーも書いておきましょう。みんな出来たかな?では代表者に前の黒板にもプロットしてもらいましょう。」

名前を呼ばれた生徒たちが前に出て、プロットしていきます。永見先生は、ほかの生徒の様子を見てまわり、悩んでいる生徒たちに指導しています。

永見

「プロットしたグラフを見ながら、1辺がいくつの正方形の中に入るか考えましょう。あれ?黒板の座標1個間違えているね。5番が少し違うかな?もう一度やってみよう。」


間違えてしまった生徒が、少し恥ずかしそうにしながら、前に出て、もう一度プロットします。永見先生が隣りについて、やさしく声をかけています。
永見

「うん、今度は大丈夫だね。落ち着いてやれば大丈夫だよ。みんなも出来たかな?乱数サイの中で、一番大きい数字はいくつかな?」

生徒 「9」
永見 「あれ?9かな?」
生徒 「9.9」
永見 「そうだね。乱数サイを使うとXの値の範囲は、何になるかな?」
生徒 「0.0より大きくて、9.9より小さくなる。」
永見 「では、Yはどうかな?」
生徒 「0.0より大きくて、9.9より小さくなる。」
永見 「プリントの値の範囲に、0.0≦X≦9.9と0.0≦Y≦9.9と書き込みましょう。次に、座標平面のプリントの点ABCの座標を書き込んでみよう。どうかな?」
生徒 「点Aは(9.9,0)点Bは(9.9,9.9)点Cは(0,9.9)になります。」
永見 「結局、この9.9は何を意味するかと言うと、Xの値の範囲になるわけです。乱数サイの数字は0以上9.9以下しか出ないということです。ということは、この中に絶対入りますよという9.9なのです。つまり、プロットした点は、1辺が何の正方形に入るのでしょう?」
生徒 「9.9cmの正方形」
永見 「そうです。みんな分かるかな?この座標平面をみると、No.9の数字をプロットした点が4分円の外に出ているのが分かると思います。4分円がどれだか分かるかな?扇形の部分だね。では、次の問題です。正方形OABCの内側に入っている点はいくつかな?」
生徒 「10個です。」
永見 「その確率は?」
生徒 「1かな?」
永見 「そうだよ。乱数サイは0〜9.9だからはみ出すことはないね。では4分円の内側に入る点の数と確率は?」
生徒 「9個で確率は0.9です。」
永見 「正解。では4分円の外側にある点の数はどうかな?」
生徒 「1個で確率は0.1です。」
永見 「ここまで大丈夫かな?頭の中がごちゃごちゃになっている人は整理してみよう。」

永見先生は生徒とコミュニケーションを取りながら、授業を進めていきます。生徒全員が授業を理解出来るように、また授業内容に遅れないよう、つねに生徒へ問い掛けます。

永見

モンテカルロ法2「みんな大丈夫そうだね。では、次に進みましょう。いよいよ円周率を求めていきます。プリントの右側をみてください。面積と確率について考えてみましょう。プリントにある3つの図形を見てください。面積が大きくなると、影の部分に入る点の確率はどうなるかな?」

生徒 「大きくなる。」
永見 「面積が小さくなれば?」
生徒 「影の部分に入る点の確率は小さくなります。」
永見 「例えば、4分円の面積が2倍になれば確率は?」
生徒 「2倍になる。」
永見 「面積が1/2倍になれば確率は?」
生徒 「1/2倍です。」

永見 「そうだね。では、この関係をなんていうかな?漢字2文字でしたね。そう比例です。こんなところにも比例が出てくるのですね。比例も覚えているかな?2年生になっても忘れてはだめだよ。面積の確率でも同じことが出来るのです。4分円の内側に入る確率:正方形OABCの内側に入る確率はどうかな?さっきプリントに書いてもらったよね。どうかな?数字でいうと?4分円の内側に入る確率は?」
生徒 「0.9」
永見 「では、正方形OABCの内側に入る確率は?」
生徒 「1」
永見 「つまり、0.9:1になるわけです。それでは、面積を求めてみよう。これも中1のはじめにやりましたね。4分円の面積を求める式を言ってみて。」
生徒 「・・・」
永見 「あれ?忘れてしまったかな?円の面積を求める公式を言ってみようか。」
生徒 「半径×半径×
永見 「それを4分割するのだから?」
生徒 「9.9×9.9××1/4」
永見 「出来たね。じゃあ、正方形の面積は?」
生徒 「9.9×9.9」
永見 「同じものがあるときは消えてしまうよね。だから、この式を計算すると?」
生徒 /4:1になります。」
永見 「つまり、今やった比例関係になるのです。では、式を考えてみましょう。比例式の計算の仕方も覚えているかな?0.9:1=/4:1内項をかけたものと、外項をかけたものを=でつなぎます。/4×1=0.9×1答えは何になったかな?」
生徒 =3.6」
永見 「そうですね。これで円周率が出ました。でもみんな、ちょっと待ってよ!と思ったでしょ。だって円周率は3.14ですから。しかし、考えてみてください。今は10個の点でやりました。それでも3.14に近い数字が出たのです。これが100個だったら、1000個だったらもっと確率の値は近づいてくるはずです。つまり今回の勉強は、円周率の"近似値"を求めようということです。別のクラスでは、10個の点がすべて4分円に入ってしまい、近似値は4になりました。このようなこともあるのです。これからコンピューターを使って、より近い近似値を求めてみます。」

先生がパソコンの前へと移動します。生徒たちは、どんな答えが出てくるのか興味津々の様子。パソコンの画面がスクリーンに映し出されます。

永見

「計算してくれるプログラムを起動させます。乱数サイを何回振りますか?と書いてありますね。では、乱数サイを振ってみましょう。何回振りたい?」

生徒 「100回」
永見 「よし、じゃあやってみようか。」

永見先生が100回と指定すると、一瞬で答えが出てきました。生徒たちからも、見学されている先生方からも「おーっ!」という歓声が。

永見

「3.12だって。数字が近くなったよね。1000回ならどうだろう?」


またしても瞬時にコンピューターが計算し、生徒たちは「すごい!」「わーっ!」と感動しています。後ろの席の生徒は、身を乗り出してスクリーンを見つめています。

永見

「今度は3.2になりました。すごいよね、コンピューターって。今回の授業、以前授業参観で行ったこともあるのです。"こんなもの使われないかもしれないね"と言ったら保護者の方から"私、これ使っているんです"と言われました。実は、面積を求める有効な手段だそうで、曲がった所の面積などを求める時に使うそうです。原子力発電所の研究室で働いている方で、原子炉設計の難しい計算をする時、乱数を発生させて求めることがあるそうです。数学はこういう事にも使われるのです。」


永見

「数学を勉強すると、いろいろな事に応用出来ると分かったと思います。そして、ただ単に数学の教科書を読んで直線を引いたりするだけでなく、もちろんこれらも大切な事ですが、今日のようなお話も大事になります。座標平面も、確率も、比例も、面積も、いろいろなところでつながっているのです。」


永見

「最後に君たちの先輩が作った円周率を求めるプログラムを使ってみましょう。半年間センター試験のために、パソコンのプログラミングを勉強した時に作ったものです。円周率1,000桁まで求めてみましょうか?一瞬にして答えが出ましたね。みんなも高校生になったらプログラムを作ってみましょう。」


永見

「では今日のまとめです。このように乱数を発生させて面積を求めたり、いろいろな計算をすることをモンテカルロ法と言います。モンテカルロって聞いたことないかな?」

生徒 「知らない。」
永見 「地理が得意な人は知っているかもしれないね。どこにあるかな?」
生徒 「ヨーロッパのチェコ。」
永見 「おしいな、モナコにあります。モナコの有名なものは?」
生徒 「モナカ!」
永見 「モナカじゃないな(笑)カジノが有名ですね。カジノ、つまりギャンブルに勝つための確率というわけです。関係がありそうですよね。モンテカルロ法を作った人をフォン=ノイマンと言います。聞いたことある人いるかな?いないか。では今日の宿題です。ノイマンとモンテカルロについて調べてきてください。そして、2枚目のプリントに100回乱数サイを振って確率を出してください。一週間後に提出です。では、今日の授業は終わりです。最後に見学された先生方にも挨拶してください。」

生徒たちが後ろを向き、見学された先生方に丁寧におじぎをします。50分の授業をいつもより短く感じた生徒も多かったと思います。「ありがとうございました!」と先生方に元気良く挨拶すると、教室へと戻っていきました。








Copyright(C)2000-2005 NTS Educational Research Institute. All Rights Reserved

CALトップへ