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文字は精神の一表現
校長 砂田 芳宏
―手のわろき人の、憚らず文書きちらすはより。みぐるしとて人に書かすはうるさし。―
ここに抜粋した文章は、古典の三大随筆の一つといわれる吉田兼好の「徒然草」の第三十五段です。「字のへたな人が、遠慮することなく無造作に手紙を書くのはよいことだ。恥をかきたくないと思って、上手な人に代筆してもらうのは、かえって嫌味である。」という意味です。
昨今、パソコンなど情報処理機器の発達普及によって、多くの人が手紙の文章や、宛名をパソコンに代筆させるようになりました。パソコンによる手紙は、読みやすいことは確かですが、その人の個性とか、温もりを感じることはできません。下手は下手なりに自筆の手紙のほうが趣きがあり、その人の面影が浮かんできます。文字は精神の一表現といって、心の表現でもあるのです。
絵手紙の書き方を習うとき、「下手がよい」と、よくいわれますが、それは、絵にしても、添え書きする文字にしても、写真や活字のように書くのではなく、その人なりに個性的であるほうが、心を伝えることができるからだと思います。上手であれば上手であるほど、非個性的になりがちなのです。
「文は人なり」といわれますが、「文字もまた人なり」で、文字は精神の一表現なのです。生徒の皆さんも、年末には年賀状など書く機会が多いと思いますが、パソコンに代筆させることなく、自筆で心を送ってほしいと思います。
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