
草花に人間を重ねてみる
学校長 西來武治
今年の夏休みも例年どおり、各学年の校外教室、クラブの合宿、補習、講習など、教師はそれぞれに忙しく過ごしました。私もあちこち飛び回りました。
そんな中で心に残ったのは、私中高協会第一支部の研修で日光へ行った帰りに立ち寄った群馬県東村の「富弘美術館」です。星野富弘さんのことはすでにご存じの人も多いと思いますが、実際に口に筆をくわえて、一枚一枚描いた詩画三百点(常時展示は六十点)の前に立つと何ともいえない感動に襲われて、足が進みませんでした。
星野さんは、1946年、この東村に生まれました。群馬大学教育学部を卒業して、中学校の体育の教師になりましたが、クラブ活動の指導中、頸髄を損傷、首から下の機能を失いました。失意のどん底から二年たって「字が書きたい」という思いから、口に筆をくわえての習字?が始まったのです。そして手紙に花の絵を描き添えました。
「一日にどんな無理をしても二時間くらいしか筆をくわえられません。また筆につける絵の具や水の量などを、私が細かく言葉で指示して、妻がそれを何度も別の紙に塗り、私に見せながら色を作るという、まことに気の長いやり方で描いています」
そして今では「草花に人間を重ねて見るようになった」と言っています。
いのちが一番大切だと思っていたころ
生きるのが苦しかった
いのちより大切なものがあると知った日
生きるのが嬉しかった
淡い花は母の色をしている
弱さと悲しみが混じり合った
温かい母の色をしている
私の好きな彼の詩の一つです。
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