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02/6/19 自由の森学園「ビオトープから地球市民へ」

ビオトープから地球市民へ

ビオトープから地球市民へ

1999年11月5日 発行

自由の森学園教諭 塩瀬 治

<目 次>

  1. ビオトープから地球市民へ
  2. ビオトープでつくった国 ドイツ
  3. 暮らしの中のビオトープ
  4. 身近でつくろうビオトープPart1
  5. 身近でつくろうビオトープPart2
  6. センス・オブ・ワンダーを育むビオトープ

<要 約>

1. ビオトープから地球市民へ

ビオトープって、なに?

 ビオトープとは、ドイツ語で「生物が生きていくための空間」、「住み場所」という意味です。現在の日本では、時間にゆとりがなくなり、開発によって身近な環境にいた昆虫、野鳥などが見られなくなり、ダイオキシンや環境ホルモンなどの危険性が叫ばれています。そんな中、「開発とは、もう一度、本来その地に生活していた生物たちをふくめた自然を復元すること」と逆転の発想に立ち、ビオトープという考え方からどういう未来を創造するか、また人間や多くの生物たちとの共存をどうアプローチしていくか探っていきたいと思います。

自然って、なに?

 学校の校庭や家の庭に咲く花などどこにでも見られる風景は、「自然」ではなく場合によっては「自然破壊」ですらあります。自然の風景とは、本来その地に生活していた生物たちが、その地にあった方法で子孫を残し、お互いの関係をつくっていた風景です。

生態系って、なに?

 森や川などのそれぞれの小さなビオトープを含んだもの、ビオトープの集合体のような自然環境が「生態系」だといえます。場合によっては、ビオトープをそのままその空間に住む生物たちの生態系とみることもあるようです。生物たちの複雑な関係と水、空気、光、土などの無機的環境が、生態系をつくっています。しかし、人間活動の結果、生物種の絶滅が急速に進み、その速度は自然状態での絶滅速度の約1000倍だそうです。

地球市民へ

 地球全体でみてみると、地球もホモ・サピエンス、ヒトという生物種を含んだ広大なビオトープです。これを壊さずに多用な生物種と共存する、よりよい環境にしていく主体は地球住民、つまり「地球市民」です。地球市民は多用な生物たちのビオトープも考えながら、自分たちの生活も快適にすることを目指し、環境破壊や人権などのさまざまな問題を地球規模で考え、問題解決のために主体的に社会に働きかけていく人々です。

6. センス・オブ・ワンダーを育むビオトープ

ドイツでの『グリーンツーリズム』 イギリスでの『グラウンドワーク運動』

 ドイツで「農村をみんなの心の景色にしよう」「農村は国民全体の共有財産」という『グリーンツーリズム』開発が1960年代に起こり、過疎で衰退していた農村は活性化し、豊かなビオトープ空間がつくられ、よくまとまり、お互いを尊重する集落社会が再生し、地域文化が守られました。イギリスでは1980年代に、地域で、住民、企業、行政、学校などがみんなで協力して、コミュニティー農園や学校ビオトープ、植林や河川浄化などの『グラウンドワーク運動』が起こっています。

日本型ビオトープ〜伝統的農村風景

 日本型ビオトープとして、学校に水田を復元したり、近くの休耕田を復活させ、地域の農家とともにつくる「豊かな生の営みの場」が、最も注目されています。水田そのものは人間の手が加わっているので、本来の自然の姿とはいえませんが、日本の伝統的な文化が育まれ、そこに豊かな生き物の多様性があり、食料が生産されるという多面的な価値をもつ田んぼこそ今こそ見直すべきだと思います。他に、公園でのビオトープ、企業によるビオトープの活動が注目されています。

もう一度「ビオトープの精神」について

 ビオトープの精神性を誤解して、大量生産・大量消費をベースにしたものの中にビオトープや自然復元を取り入れようとしたり、ある種のブームにしているような動きが多く見られます。「ビオトープをつくると蚊」が、という例も今の自分のスタンスを覚悟をもって変革しようとしない御都合主義の感があります。自由の森学園の子どもたちの意図は多大な労力と費用はかかるけれど、自然と共生し、循環型、省エネルギー型の生き方をしていこうというかなりの決意と覚悟をもって、日本も社会変革を目指すべきだというものでした。

「センス・オブ・ワンダー」を育むビオトープ

 レイチェル・カーソンは『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』が子どもにあるならば人生に飽きて疲れることなく、たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとがあったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると言います。

  未来を生きる子どもたちの「センス・オブ・ワンダー」を育むために、私たち大人は相当な「覚悟」と「価値観の転換」をもって、本物の自然と共生する社会を創造しなければなりません。

ポラン広場のホームページ
http://www.polan.net


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