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百年誌刊行に寄せて
京北学園は、明治三十一年十月十八日、学祖井上円了先生によって、旧小石川原町の鶏声ヶ窪(現在地)に創立されて、本年百周年を迎えます。
先生は、真理(哲学)を大切にし、真理の実現をめざす人間を育成する目的で、同二十年に哲学館(現東洋大学)を、同三十一年に旧制京北中学校、同三十八年に京北幼稚園を、同四十一年に京北実業学校を創立されました。
爾来、長き星霜の中で、学園は様々な苦難に遭遇しましたが、その都度、教職員・校友・保護者の方々のご努力により苦難を克服してきました。そして、三万数千名を数える卒業生を世に送り出しました。
明治・大正・昭和そして平成と培ってきた教育を、現在の生徒達にどのように伝え、どのように育んで行くか、重大な使命を学園は負っています。国際化、情報化、高齢化など社会の変化に対応出来る生徒を育成し、二十一世紀に向けて羽搏かせていかねばなりません。京北には学祖井上円了先生の高邁な精神があります。「諸学の基礎は哲学にあり」、真理を愛し、物事を深く考える力を備えた生徒の育成に専念することが使命だと考えています。
中教審の答申は、「不易」の尊重に触れ、「わが国が形成された歴史、先達が残した芸術、文学、民族、伝承等を学び、これらを大切にする心を培い、現代に生かすことができるようにする」ことを重要課題としています。
芭蕉の俳諧の理念の一つに「不易流行」という言葉があります。世の中にはいつの時代にも変わらない大切なものと、時代の変化とともに変わりゆくものがあり、不易と流行とは共に必要であるとしています。
教育における「不易」は、基礎・基本を確実に身を付けさせる、思いやりや正義感など豊かな人間性を育成する、わが国の伝統と文化を尊重する心を培い、そして「流行」は現代の情勢に応じた感性を育てる等です。
京北学園は、学祖の教育理念を様々な学習活動のなかで実行しております。
この度、創立百周年の意義ある節目にあたり、記念誌を発行することになりました。学園では、本格的な校史として、昭和五十三年に『京北学園八十年史』を、同六十三年に『京北学園九十年史』を発行し、平成五年には、創立九十五周年を記念して、より多くの生徒に理解してもらうためと資料の蒐集・整理を目的として、『目で見る京北学園のあゆみ』を発行してきました。
今回は、編集委員が、ユニークなものを作製しようと、研究・工夫され、あまり類のない記念誌が編集されました。
第一部は、俳句を掲げて毎月の扉として、学園の一年間の歩みがわかるように、過去と現在を織りまぜながら歳時記風に構成されています。扉の俳句には、本校の卒業生で在学中から『校友会雑誌』の中軸の執筆メンバーであった飯田蛇笏の作品を引用しています。蛇笏の同窓には、日夏耿之介(詩人)、森川葵村(詩人)、高村豊周(鋳金家)他錚々たる方が名を連ねています。また諸先輩の紹介と共に、生徒の文章・作品を大幅に取り入れていますので、是非読んでいただきたいと思います。
伝統とは、過去の歴史が現在に伝えられ、現在に生かされ、未来への展開が考えられて始めて、伝統の力が発揮されます。
この記念誌が、多くの方に読まれることを祈念するとともに、校務多忙のなか、企画・編集に携わった先生方、また資料提供・助言をくださった方々に感謝の意を表します。
平成十年十月十八日
京北学園
理事長 山 田 皓 造
校 長 来 馬 達 朗
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