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01/07/30 海城中「海城中学校の教育(平成13年)」

海城中学校の教育(平成13年)
海城中「海城中学校の教育」


教科指導の特色

  ■ 国語科 国語科主任 新田弘次
  ■ 社会科 社会科主任 林敬
  ■ 数学科 数学科 平山裕之
  ■ 理科  理科主任 鈴木元明
  ■ 英語科 英語科主任 松田 和久


生活指導の基本方針と実践
 生活指導部長 奥村秀樹


生活指導の特色 - 国語科 国語科主任 新田弘次 -
 21世紀を目前にして、次世代の教育はどうあるべきか、どういう人間を育成せねばならないかは、国民的な関心事として取り組んで行かねばならない状況にある。特に否応なく進む科学技術社会の中で、価値観の選択に迷う若者の多い昨今、教育に期待されるところは多い。

 本校国語科では、そうした社会的要請にも十分配慮しつつ、日々教育に当たっている。生活の基本的価値観の習得のためにも、これから学ぶあらゆる学科の基礎科目としての国語を重視し、国語の単位数は、公立の標準単位を大きく上回って設定されている。それは中学段階でしっかりとした国語の体系を理解させ、深い精神性を構築しておくことが、6年一貫の教育を構成していく上で重要であるという立場からである。

 国語力を伸ばすにはいくつか方法があろう。だがなんと言っても、それまでの<読書>が決め手になるといって過言ではない。森羅万象、何でも登場して来る国語の文章に対する場合、理解の鍵はそれまでのその人の知識・体験であろうが、未熟な年齢においてそれを補うのは「追体験」としての<読書>であると言える。本校ではそのセオリーを大事にして読書指導にも努力している。科としても、教室内で補助的教材として提示するものを、できるだけ豊富に購入するようにしたり、本校の図書館との提携を密にして「読書感想文コンクール」を積極的に行ったりして、図書館利用の機会が増えるように指導をしている。

 現代文の、それもかなり深い内容の文章に対応するためには、どうしても表現の細やかなニュアンスを捕らえる必要があるが、それには底辺に文法的理解がなくてはならない。そこで1、2年で口語文法を履修させている。これにより日本語の体系・構造を論理的につかませ、微妙な意味の世界を考えさせている。3年では文語文法を学習するが、これは同時に履修している古文の教材を読解するのに必要な範囲を主に指導している。古典教育の初期では解釈や文法にむやみにこだわらず、言語的感覚を養うのが一番と考えているので、それほど深くやっているわけではない。

 古典は2学年から2時間ずつ配当しているが、特に高校をにらんで意識した配当ではなく、<日本の文化>として古典的世界に関心を持たせることが、結果として古文のみならず、国語全般にわたる理解に通じることになると考えての配当である。毎日の授業で担当教師は資料などを使って、それぞれ工夫を凝らして努力しているが、中でも「百人一首」の暗唱を少しずつ行い、体育館などでカルタ取り大会を実施しているのは意義があると思っている。頭脳の柔軟な時における暗記は、後年きっと基礎的な教養となって有効性が高いと思われる。また、最近のVTR教材も豊富に揃え、視覚的な方法も随時授業の中に組み入れて、活気のある授業をもくろんでいる。

 以上のように国語科は、一貫教育の利点を生かし、中学段階ではあくまで基礎的な勉強に重点を置いて、高校へ行ってからの本当の「開花」を期待して、じっくり余裕をもって<本物の勉強>が出来るようにやっている。


生活指導の特色 - 社会科 社会科主任 林敬 -
 社会科では、文部省が2002年度から導入する総合学習を結果的に先取りする形で、1992年度から社会科総合学習と系統学習を並列する独自のカリキュラムを採用しています。学歴社会の解体、情報化および国際化の進展など社会情勢が大きく変化している現在、もはや教育も「より高度な系統知識」の注入だけでは済まされない段階に達しています。本校のカリキュラムは、海城高等学校の教育と結びついて、長期的には生徒諸君の知的な生活態度や自発的な研究能力、積極的な問題解決能力を育成すること、短期的には大転換しつつある大学受験への有効な対応力を育成することを意識してつくられています。

 総合学習については、「社会T・U・V」という独自の科目で、生徒の知的好奇心をかき立てながら、学ぶことの楽しさを基にした自主的かつ科学的な研究態度を育成しようとしています。具体的には、生徒ひとりひとりが自らの研究課題をもち、社会的に共有できる文献情報(インターネット情報をふくむ)やフェイス・トゥー・フェイスでしか得られないオリジナルな取材情報を得る個別の調査を行い、その情報分析を基にして自らの見解や政策提言を含めたレポートを中学3年間の各学期ごとに作成したり、研究発表や討議をできるように指導しています。

 また、系統学習については、単に教科書にしたがって網羅的に知識を注入するのではなく、テーマ学習を積極的に導入しながら生徒の知的好奇心を刺激しつつ自律的な学習態度を育成しようとしています。そのために、独創的かつ新鮮な切り口を重視した問題設定、最新の学問的な成果を組み込んだ深い問題分析、生徒の積極的な授業参加をうながす多様な授業形態を取り入れて授業を展開しています。定期考査では論述問題を重視しており、生徒の体系的な学習理解とともに論理的思考力や分析力、表現力の育成をめざしています。

 1年次には、中学社会科の入門科目として位置づけた「公民」(週2時間)で現代の日本および国際社会の諸問題を多様な資料や新鮮な切り口などで分析することを学びながら、「社会T」(週2時間)で生徒が自らの研究課題を設定でき、研究課題に対する分析視点や分析方法を身につけ、研究成果をレポートにまとめられるように指導しています。2年次には、「地理」(週2時間)で世界全体および地域的に存在する諸問題を自然的・社会的な地域分析で学びながら、「社会U」(週2時間)で生徒が自らの研究課題を世界各国の状況の中で検討したり、研究課題に対する地域分析の手法を身につけられるように指導しています。3年次には、「歴史」(週3時間)で日本および世界における個々の歴史的事実やテーマから時代を大胆に描く手法も用いて学びながら、「社会V」(週2時間)で研究課題に対する歴史的分析の手法を身につけさせ、卒業論文(400字×30〜50枚)の作成で自らの中学3か年の社会化総合学習を集大成できるように指導しています。なお、個別指導の充実の観点から、「社会V」に限ってはクラスを2分して少人数指導を行っています。

 なお、社会科では、日本や世界の社会や国家が抱える諸問題を教材化できるよう幅広い分野の図書資料を充実させており、生徒諸君の多様な質問や相談に応えられるように開かれた雰囲気の職員室づくりをめざしています。


生活指導の特色 - 数学科 数学科 平山裕之 -
 数学的な見方や考え方が大切であるとされている反面、現在の教育システムにおいては、ともすれば数学科の指導が、問題解決のためのテクニックや解法の暗記に偏っている傾向もないとはいえない。公式や定理の暗記にたよる学習をしている生徒にとって、論述式試験や証明問題は苦手なものに感じられる。さらに、数学は日常生活には不必要、自分とは別世界のものと受け取って、数学の学習をなかば放棄してしまう生徒も少なからず存在する。しかし、数学は本来、人類が作り出した知識の集成であり、高度に発達した文明社会に生きる我々にとって、広い範囲に応用されている。情報処理技術の進歩により、文科系と言われる分野でも、数学が用いられるようになってきた。このような時期において、本来の数学の重要性を認識し、我々の文化の一部である数学を生徒に伝えたい。そのために、数学的な見方や考え方を、できる限り親しみやすく伝え、進んで学習する態度を身につけさせることが指導の目標である。

 本校では、規定時間数よりも各学年とも1週間の授業時数にして1、2時間ずつ多く授業を行っており、中1では5時間、中2では6時間、中3では5時間と、ゆとりを持って時間割が組まれている。この時間数の中で、代数分野と図形分野に分けて授業が行われている。時間的余裕から、教科書以外の教材に時間をかけたり、実験的手法による授業や、他校では扱いにくい内容も含め、中学、高校の指導内容を一貫してとらえた学習を行っている。

 代数分野では、数、式、方程式、関数などの内容を扱い、中2までには、ほぼ中学校の範囲を終える。中3では、中学内容の理解を深める復習を行いつつ、高校レベルの式の計算、方程式、関数などについても学んでいく。基礎的な計算力を重視しながらも、それを用いて、変化や対応についての数量関係を抽象的に取り扱う訓練も行う内容になっている。

 図形分野では、平面図形や空間図形を直感的、論理的に理解し、三角形、四角形や円を扱いながら、推論や論証といった数学の基礎的技術の習得に十分な時間をかけた学習を行っている。中学の内容がほぼ終わる中3では、高校で学ぶ初等幾何を取り扱い、三角比や多角形の辺の比などの問題も取り扱う。

 授業では、これらの目標を達成するために、小テストをしたり、課題を出したりして、個人の能力を評価し、木目細かい指導を行っている。また、正規の時間以外に、講習や学習会を行い、授業について行くことが難しい生徒にも、発展的な学習を望む生徒にも対応している。


生活指導の特色 - 理科 理科主任 鈴木元明 -
 理科は自然に対する認識を高めるだけでなく、観察力、思考力、創造力、判断力等を養う上でも最適の教科であるので、これらの能力の育成に重点を置いた授業を行うよう努めている。

 中学の理科は物理、化学を主とする理科1分野と生物、地学を主とする理科2分野から成るが、本校においては、授業の質、内容を高めるために、できる限り、それぞれの分野の専門教師が授業を担当するようにしている。即ち、理科の授業を物理、化学、生物、地学のように更に細分化し、授業による学習効果をより高めるようにしている。

本校の理科授業は、一年と二年においては、それぞれ理科1を週2時間、理科2を週2時間履習し、三年では、理科1を週3時間、理科2を週2時間履習する。本校の理科の授業時数は各学年とも文部省規定の時間数より週1時間ずつ多くなっている。六年一貫教育のため、授業内容は中学領域、高校領域の壁にこだわらず、必要と判断するものはどんどん取り入れてやっていくので、生徒は十分な予習、復習をすることが必要である。

 中高一貫教育の成果を最大限に発揮するのに必要なことは、安易な詰込み教育を避け、十分な時間をかけて、鋭敏にして粘り強い思考力及び優れた創造力を中学時代に強固に育成することである。そのために必要なことは、基本事項の徹底した理解であり、また、それらの体系立った積み上げであり、また、疑問に対し旺盛な探究心をもって立ち向かう姿勢である。このため、本校の理科授業においては、多くの観察、実験が行われる。これらの実験、観察に必要な器材は最新のものに至るまで、質量とも十分に準備されている。生物の観察に必要な光学顕微鏡及び双眼実体顕微鏡も生徒1名当たり1台の割合で準備されており、鉱物顕微鏡も1名1台の目標で増強中である。

 これらの器材を使った観察、実験の多くは、生徒自らが実践し、自らが考察し、自らが結論を導く徹底した個人の能力育成教育がとられる。また、生物教材の長期観察、地質現象の長時間にわたる変化、そして直接経験できないミクロの世界など、生徒による実験や観察が不可能な事項については、豊富な視聴覚教材を駆使して、細部、深部に至るまで理解の徹底をはかっているので、中学3年間のうちに、生徒個人個人には、自然に対する深い認識及び判断力、そして主体的な探求心が育成されてくる。

 次に理解されたものがしっかり積み上がるよう、かつこれらを使って十分な応用ができるよう、常に問題練習がくり返される。また、学習事項の積み上げや、思考力の育成の度合いをはかるため、年2回の実力テスト及びかなりの回数の小テストが行われ、生徒個人個人の学習の到達度が厳密に検討される。そして未到達者にはできる限り個人的にも指導し、生徒全員が一定以上のラインに到達するよう努めている。


生活指導の特色 - 英語科 英語科主任 松田和久 -
 ゆとりを持って、ていねいに教えるというのが本校の英語の授業の基本姿勢といえます。それによって基礎をしっかり身につけさせ、その上にしっかりした実力をつけていこうというものです。それは、各学年とも週6時間英語の時間があることによって可能になっています。各学年共通して5時間を日本人教師のみで、残り1時間をネイティブ・スピーカーと日本人教師が担当します。

 学年別にみると、特に中一では十分時間をかけて、基礎をしっかり身につけさせるよう指導します。又、発音や実際的な運用面にも配慮して、ネイティブ・スピーカーに直に接することのできる会話の授業も週1時間設けています。これは、通常のクラスを二つに分けて、小数で行いますので十分効果が期待できます。つまり、早い時期から「聞く、話す、読む、書く」の四分野を十分時間をかけて、きちんと固めて行こうと配慮しているわけです。

 さて、二年になると、進度は一年時の増加時間と合わせて、標準的進度よりもかなり進んで、二年時の終わりには中三の教科書の大半が終了します。会話の授業は、一年同様少数でおこなわれます。ここでは、四つの分野が総合的に発展拡大されて行くことになります。

 三年になると、高校のレベルにも足を踏み入れることになります。週5時間のうち3時間では高一レベルの教材を使って、より高度な内容と構文に接し、残りの2時間では読み物や問題集を扱い、中学のレベルの英語の総復習をしながらその定着を図ります。さらに、一年、二年と続けて来た英語会話の授業がこの学年でもより発展した形でおこなわれます。

 以上のように、各学年とも増加単位を十分に活用して基礎学力の定着を図り、さらにその上の学力をつけていくという形態がとられているといえます。教材の面から言っても、1、2年次は教科書を中心に置いてはいますが、各種の既成の副教材を始め、担当者の手作りのプリント類を積極的に活用して、生徒が接する言語材料の質と量を格段に高いものにしています。

 このほか、放課後の講習、夏期休暇中の講習等を通して、さらに学びたい生徒や、力不足の生徒の要望にも答えています。


生活指導の基本方針と実践 - 生活指導部長 奥村秀樹 -
 「知・徳・体」のバランスのとれた社会人を育成すること、および国家・社会における有為な人材を育成することを目標とする本校では、生活指導は徳育面の領域の指導にあたります。

 本校の生活指導の基本目標は、生徒が一般社会や学校におけるきまり(ルール)を遵守し、良識ある社会人になるためのマナーを身につけながら、快適で楽しい学園生活を送ることができるように導くことにあります。そのために私共は、厳しさの中にも寛容と忍耐の精神を持ち、生徒の自己管理能力や自己責任能力の啓発、楽しい学園生活のための環境作り、地域社会との結び付き、道徳心や公共心の育成に力を入れています。

1.自己管理能力、自己責任能力の育成 勉強に対して取り組む姿勢はもちろんのこと、遅刻が多いことなどの日常の生活習慣のみだれ、また、意思の弱さから露呈する反道徳行為などは、自らを律する気持ちの欠如が問題と思います。本校では事例が起こる度に担任等を通して、自己に厳しく対処するよう指導しています。また、保護者にも実情を報告し、協力し合いながら指導にあたっています。

2.楽しい学園生活のための環境作り 6年ないし3年の短い関わり合いですが、子供の成長において重要な役割を担っています。健康で、充実した学校生活を過ごせるために何が必要で、何をすべきか常に考えています。

 たとえば、本校でも「いじめ」の問題がでることがあります。暴力的な行動にでることはほとんどなく、ことばが原因となるケースが多いのですが、その場合も含めて、本人または保護者が常設のカウンセリングルームを訪れ、専従のカウンセラーに相談して解決を図っています。

3.学外地域社会との関わり 本校を取り巻く周辺地域の教育環境は決してよいとは言えません。本校では地域の方々と連携を密に取りながら、教育環境が少しでもよい方向に向くようにできるところから取り組んでいます。同時に、本校生徒の登下校時の規律が求められますので、下校時にゲームセンターなどに寄り道をすることは厳しく指導しています。また、全教員で分担して日常的に地域巡回を行ない、生徒が事件事故などに巻き込まれないよう注意を払っています。

4.日常社会の道徳心、公共心の育成 本校では個性豊な人格の育成をめざして指導していますが、ややもすると、自我が表面に出て道徳心や公共心、他人への思いやりを忘れてしまう生徒も出てきます。本校では、あいさつや清掃、整理整頓などの基本的生活習慣を身に付けさせる指導を行なっています。

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