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第11回『男女の発達の違い・思考力の違い』
   白梅短期大学 心理学科 教授 林 潔

1.心理社会的アプローチの枠組み
医学領域と異なり事実関係が見えてこない
判断で見ていかなければいけない分野
→どこまでも事実関係として捉えていいか曖昧な点が残る
 いろんな解釈が成し得るジャンルではある
   例)昭和30年代 女子は単純作業に向くという論
性差から個人差への流れ
 職業,行動様式についても同様
   例)女子の理系進出
2.フロイドの見解
成長の流れを区分
   児童期の性の目覚め
   人間の成長は性衝動による
  去勢不安
  Penis Complex(コンプレックス(複合感情))
3.ピーターパン・シンドロームとシンデレラ・コンプレックス
シンデレラ・コンプレックス
 他者によって守られていたいという心理的依存状態
 自分の人生を一変してくれる救いの王子様を待ち続ける
 成功回避動機
 →自分の能力の発展にブレーキをかけてしまう
4.一寸感じたこと
  • こっくりさん,血液型と性格に引かれるのは女性
  • 心理学科に女子学生が多い
  • 高校生レベルで志望者が多い
     単なる流行? 教員になりにくいので近い領域に向かう?
     競争とバランスを取る機能としてのケアに関心が向かう?
  • 代表的な問題
     男子 対人恐怖
     女子 摂食障害(拒食,過食)
          痩せたいという願望だけではない?
          痩せたいと思っても周囲に誘惑が多い
          エディプス期の成長障害に問題があるかもしれない
          女になること,成長することを拒否することが背景か?
          女性ホルモンの注射が効果を持つ場合がある
         リストカットは女子
          自分の存在の確認という説
          自分を痛めること傷つけることで存在を確認
          なぜ女性に多いのかわからない
5.精神構造の多重性


6.通常の心理学における差があるという根拠は?
データ処理の場合は確率で考える
一般には5%以下の危険率を基にする
 5%以下はエラーと考えましょうということ
7.文献レビューから見た性差
知能 一貫した明確な傾向なし
言語能力 概して女子が優位
認知型 性差の存在認められない(テスト間で結果異なる)
知的機能とラテラリティ 一貫した明確な傾向なし
達成動機 性差の存在不明(男女間に質的差異あり)
親和動機 性差の存在認められない
原因帰属 性差あり(男女間に質的差異あり)
道徳性 ないか,あれば概して女子が高い
不安 ないか,あれば概して女子が高い
依存性 一貫した明確な傾向なし(あれば女子がやや高い)
攻撃性 一貫して男子が高い
共感性 ないか,あるとすれば女子が高い
向社会的行動 ないか,あるとすれば女子が高い
自己概念・自己同一性 女子が低い(男女感に質的差異あり)

女子の方が向社会性が大きいが学校差もある
 男子 身体を男らしいと認知しているほど,自己の男性の役割を評価
 女子 身体を女らしいと認知しているほど,自己の男性役割と女性役割を評価

学業への態度
  女性は弱さを表明するが男性はできない
  女性には従順や自己制御が求められ,
  男性は積極性や自分の欲求を通すことが望ましいと見なされる
  女子の学業は人間関係の問題と捉えやすい
  目標の持ち方の差異
    女子 具体的な目標を思い描くことが困難
        現時点で当面している課題に懸命に取り組む
  中学生女子の学業成績と先生に対する好みと相関がある

8.ジェンダー・ステレオタイプ
例)結婚を意識すればジェンダー・ステレオタイプに忠実になる
9.結論
現実にはいくつかの点であると言えるが,社会的条件がらみで変動の
余地があるのではないか
 高校生のジェンダーをめぐる意識
  性差から個人差へ
  明確に判断できにくい部分,評価者の判断が介入する余地が出てくる
 言語,向社会性において女子の優位が見られるかといった程度

 社会がそれぞれの性に何を求めるかということに連動する部分が大きい

(文責・品田)

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