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第1回『我が校の生き残り戦略』
-宝仙学園中学・高等学校 教頭 富士晴英 -

 二〇〇二年の九月、「二十一世紀の女子教育を考える会」という勉強会を、他の女子校の先生方に呼びかけて始めました。会を始めた目的は、近年受験生の共学志向が強まりひところより人気が冷えたといえわれる女子校の魅力を、女子校に勤務する教員同士で再確認し学び合うというものです。今のところ、参加校は十数校で、一ヶ月に一回のペースで会を重ねています。

 最初の会では、呼びかけ人ということもあって、私が報告させていただきました。以下はそのレジュメです。

「我が校の生き残り戦略」

 (1)「変わる宝仙の教育」とは
  目的は教育力の向上…生徒による授業評価・シラバス・公開授業
  サービス力の向上…個別指導・学期ごとの三者面談・土曜講座

 (2)「変わらない宝仙の教育」とは
  「女子校らしさ」を自覚的に追求する
  面倒見のよさ・きめの細かい指導を実現する

 (3)今こそ、建学の精神を生かした教育を
  「仏教の精神を基調とする品格ある人を造る
  教育」
  モラルとしての品格と知性としての品格

 (4)『宝仙の教育』の改訂作業
  全教職員の共通意識・共同責任・共有財産として
  生徒・保護者・卒業生・後援会・地域住民などの声
  も織り込んで

 報告をするにあたって前提とした私の認識は、次のようなものです。

 教育力の向上を目的とする学校改革の諸施策は、私立であれば男女校の別なく進めなければならない。それに加えて女子校は、女子校こそが女子の教育を行うにふさわしい学校であることを、個性豊かに語っていく必要がある。宝仙学園が目指す教育は、「品格ある人を造る教育」。私は、建学の精神に基づくこの言葉は、現在に具現化することができると考えている。ただし、この教育を追求するためには、宝仙学園に集う教職員・生徒・保護者などの間で、「品格ある人」について共通認識を深めることがポイントになる。そのために、今年度の募集対策に学校長が執筆した『宝仙の教育』を、学校長を中心としながらも学園に集う人たち全体の力で作り直す。


 そもそも、「品格ある人」とはどんな人なのでしょうか。今年度版『宝仙の教育』によれば、学校長は七つの指標を挙げています。「笑顔のあいさつができる人」、「お陰さまと素直にいえる人」、「奉仕の精神が旺盛な人」、「惻隠の心・辞譲の心の豊かな人」、「十善戒を心がける人」、「慈悲の心の豊かな人」、「形の乱れは心の乱れ、形は心を律するの教訓が実践できる人」。これらの指標は、おもいやりと優しさに満ちた人柄を重視したものといえるでしょう。この考え方は、生徒・保護者、卒業生などに広く理解されているものと思われます。

 私は、人柄や人間性の素晴らしさが品格の基礎となることを踏まえつつ、それが他者に認識されるための自己表現力をどのように育てるかということが、宝仙学園の教育の課題だと考えています。そしてそのためには、特に言語表現をバランスよく発達させることが必要だと思います。一般に「読む」・「書く」・「聞く」・「話す」といいますが、現在の社会風潮としては、伝統的には重視されていたはずの「読む」・「書く」技能がむしろ衰えてきたようにもうかがわれます。こうした状況を見ると、今こそ、宝仙学園にこそ、読書習慣を学校生活の中でも確立することから始め、大学入試レベルの小論文を作成する技術を獲得することを目指したプログラムが求められているのではないでしょうか。そのようなプログラムの裏づけがあって初めて、場面に応じた適切な言葉遣いや振る舞いが可能になるはずです。

 このようにして考えていくと、「品格ある人を造る教育」は、女子校らしい目標であるとともに、次の時代を担う全ての中学生・高校生にとっても必要な教育になります。または、次のように言うこともできます。時代にニーズに対応し、かつ普遍的な教育目標を掲げているのは女子校である、と。その気概をもって宝仙学園の教育課題に向き合い、女子教育に携わる方々との学び合いを重ねていきたいと思っています。


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